偏りはいつか平準化される?
エントロピーの法則(熱力学の第二法則)というのがあって、エネルギーは必ず高い方から低い方へと移っていき、ついには平衡状態になることになっている。偏りが平均化していくことをエントロピーが増大する、という。だから宇宙のエネルギーのばらつきも次第に平均化して平衡状態になる、ということになっているようだ。物理化学でこれを学んだときに数式で示されたが、私の頭ではさっぱり分からなかった。しかし、現象としては理解した。これは永久機関は存在しない、ということの根拠にもなっている。
生命活動というのは、一見そのエネルギーをばらつきから偏りにする働きのように見える。エネルギーを低位から高位にしているように、つまりエントロピーを減少させているように見えるが、そのためにさらにエネルギーを消費しているので、結果的には物理法則からのがれることはできない。
社会活動も同様に見えるが、社会活動は物理学とは無縁だから、熱力学の法則を当てはめることはできない。そのはずだが、無知の私ゆえに政治も経済活動も偏りから平衡状態へ行くのが宿命だ、などと妄想している。
現代の世の中は、富や権力がますます偏って行きつつあるように見える。エントロピーの法則に反している。それはそもそも社会とエントロピーの法則は関係がないからだといえるが、私などはこれが過渡的な状態で、いつかその偏りは限界を超えてしまい、一気に平準化するのではないか、と期待している。期待がかなうのはかなり先であろうが、そう妄想することで今の心の平安を保つことにしている。そうでも思わないと、今の世界はどうにも理不尽に見えて仕方がない。
革命だの共産主義だのを願っているのではないので念のため。共産主義こそ偏りの極致であることを20世紀は教えてくれたから。
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