« エラいことである | トップページ | 夏油温泉 »

2023年8月 6日 (日)

地獄の暑さ

 むかしは夏油温泉にも宿が沢山あって賑わったそうである。それも次々に廃業して、今は二軒か三軒しかないようだ。「昭和五十年頃が最盛期でしたね」と宿の主人は言った。こんな山の中の不便なところまで、よくみんなやってきたものだ。

 

 ふだんは夏でも涼しいのだろう。主人の言うとおり、きのうまで涼しかったのだろう。それにしても暑い。この宿は三つの棟でできていて、三階建てが一棟、あとは二階建てで、私は二階建ての二階の部屋。夜になって一階は外気温が下がったのかすこし涼しい。私の部屋は昼間の太陽光を浴びた屋根のほてりが部屋中に残って暑いままである。エアコンはなくて扇風機だけ。ふだんはそれで好いのだろう。我が家のエアコンは不調で28.5~29℃くらいにしか冷えないが、この宿の部屋よりずっと涼しい。ここは軽く30℃を超えているということだ。いつ涼しくなるのだろう。雨でも降らないか。地獄の暑さに耐えている。

 

 二十部屋ほどのこの宿も七割方客で埋まっているようだ。半分が子供連れ。子供は暑くても元気だ。うらやましい。そういえば今日は土曜日だ。まだ盆休みではない父親も家族を連れてくることができる。石川五右衛門が釜ゆでになったような壺湯に、小学生くらいの兄弟が入って神妙にしている。見ていておもしろい。

 

 部屋の網戸の窓のそばは外気と接しているからこころもち涼しいが、中にその涼しさが入ってこない、入り口のドアが閉まっているからだと思い、思い切って開け放してみたが、涼しい風は通り抜けてくれない。代わりに入り口から虻が入ってきた。虻には昔痛い目に遭っているのでうんざりだ。

 

 夜半になるとさすがに部屋のほてりも消え、外気の涼しさが次第に部屋の暑い空気と入れ替わっていき、いつのまにか眠っていた。明けて六日の日曜日の朝、白んでいく空の光で眼が覚めた。五時少し前、すぐ風呂に行く。涼しいうちに体の汗を流しておこう。夜中、下の川の水音がしていた。河原に小さな露天風呂があるという。貸し切りで入れるが、二百メートルほど先で、上り下りしなければならない。最近足元がすこし危うくなっているし、汗をかきに行くようなもので、多分この時期だから虫だらけだろう。野趣を楽しむならよいが、内風呂だけでも四種類の源泉の風呂が楽しめるのだから充分だ。他にもうひとつ、宿に近い露天風呂もある。風呂には困らないがエアコンがない。

 

 風呂から上がって外を眺めていたら空が赤くなり、あっという間に白光に変わり、「今日も暑いぞ」と太陽がアピールしている。涼しいうちに風呂に入っておいてよかった。さて、今日はその暑さをどうしのごうか。一階の涼しそうなところをさがして本でも読むことにしようか。暑いと本を読んだり考え事をするのも困難になる。意気地がなくなったなあ。災害などで被災したり、停電や断水で困っている人たちはこれが何日も続くのだ。あまり贅沢を言うものではないと反省する。

« エラいことである | トップページ | 夏油温泉 »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

若い頃、秘湯に憧れた時期があり
とくに交通が不便な東北地方の温泉に行こうといろいろプランを練りました。
候補となったのは作並温泉、今回ご紹介のあった夏油温泉です。
結局、諸事情で行けなかったのですが
当時愛読した温泉ガイドには
作並温泉はバス停から徒歩で2時間(まさに秘湯!)という記述があったことを覚えています。
けた外れの酷暑が続きます。無事にご帰宅されますように。

こんにちは。
ここずっと夕方も29度、夜通し気温が下がりません。
夕涼みなんて言葉、死後になっちゃいましたね。
木々があって、虻がいるような自然環境でも暑さは昔とは違うんですね・・・

今の季節は”東北なら少しは涼しいかな”という考えは裏切られます。
わが夫婦も昔、夏場に東北へ出かけてひどい目に遭いました。昔、クーラーというものがまだ一般的ではなかった頃、扇風機一つの部屋で、暑さに眠ることが出来ずに夜中に飛び出したことがあります。恐るべし東北の夏!を体験しました。
まぁ、場所により多少は気温が違いますが、東北=夏は涼しい・・・は嘘と思った方が(*^^)

こんにちは
私の会社の同僚が温泉好きで、この前の土日を使い鬼怒川温泉に行ってきたと言います。
私も温泉でのんびりしたいものです・・・。
ところで日本で一番涼しい場所といえば、皮肉にも南の沖縄だそうで、却って東北や北海道は暑いそうですね。
いやはや温暖化のせいか何のせいか・・・?
では、
shinzei拝

ss4910様
作並温泉に入ったことがありますが、今は秘湯という雰囲気ではないですね。
普通の温泉街でした。
夏油温泉は、秘湯といっていいと思います。
今は二軒だけになってしまったそうです。
不便ですが、脱出してみるとまた行きたい気がします。
こんどは一週間くらい本物の湯治がしてみたいです。

むう様
二日目の昨夕ににわか雨が降り、一気に涼しくなりました。
宿の主人によれば、こんな暑さはあまり経験がないそうです。
暑さよりも寒さ対策のみ考えてある宿のようです。
これからクーラーを入れるのは経営的にむずかしそうな気もします。
晩は遅くなれば涼しくなり、朝の冷気はとても快適でした。

おキヨ様
たしかに東北の夏はそれほど涼しくなくて、暑いですね。
学生時代に暮らしていたからよく分かります。
夏油温泉は山中の高台にあるので、本来は涼しいところのようです。
今が特別なのですね。
夜は涼しくなりましたから、快適に眠ることはできました。

shinzei様
日本は温帯から亜熱帯に変わりつつあるのでしょう。
この暑さは特別ではなく、これからは夏といえば猛暑が普通ということになったようです。
仕事を定年まで勤め上げて、とにかく温泉を楽しむことを願望していましたから、今は満足しています。
ただ、走り回るのはそこそこ体力が要ります。
以前よりもペースをおさえたつもりですが、強行軍になりました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« エラいことである | トップページ | 夏油温泉 »

2024年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

  • アニメ・コミック
  • ウェブログ・ココログ関連
  • グルメ・クッキング
  • スポーツ
  • ニュース
  • パソコン・インターネット
  • 住まい・インテリア
  • 心と体
  • 携帯・デジカメ
  • 文化・芸術
  • 旅行・地域
  • 日記・コラム・つぶやき
  • 映画・テレビ
  • 書籍・雑誌
  • 経済・政治・国際
  • 芸能・アイドル
  • 趣味
  • 音楽
無料ブログはココログ
フォト

ウェブページ