遺憾である
「遺憾である」「遺憾である」と繰り返すばかりの日本政府には、それしか言いようがないのだと理解していても、情けない思いがする。世界には、特に中国には「遺憾である」は「ごめんなさい」「勘弁して下さい」にしか聞こえていないのではないかと思えてしまう。
私は当初から、福島第一原発事故は人災の要素の多い事故だという見方をしているから、その責任をきちんととるという経緯を経なければ、汚染処理水を海洋放出するのは反対という立場である。ただし、科学的に処理水が安全だという点については、理解しているし、それしか方法がないことも理解しているし、定期的な検査での測定値について信用もしている。
とことん困って困って、「やはり事故は人災であり、われわれの責任です。悪うございました」、と津波対策不備の責任を当時の東京電力やそれを監査していた政府責任者達が、被災者をはじめとした日本国民に頭を下げる所まで行かなければ海洋放出できないと考えていた。それをしないで、「一杯になったから放出します」というのは筋が通らないと思っていた。
しかるにいまの中国の、日本の弱みにつけ込んだ国家を挙げての嫌がらせはなんたることだ。無知の国民を煽り立て、日本全体が汚染されているかのごとき言い方をしている。あたかも原発事故以後、福島県民であるからというだけで他県に避難した人たちが、愚かな連中にあらぬ迫害を受けたことによく似ている。日本人はますます中国嫌いになるだろう。私ももちろんそうなっている。いつか見ていろよ、という気持ちになった日本人は多いだろう。
プーチンは、簡単にウクライナを屈服させられると思っていたのが当てがはずれてしまい、収拾がつかなくなってしまっている。事態の収拾ということを想定していなかったことによる困難で、自業自得だ。いまの中国に日本との関係の修復についての想定があるかといえば、まともな日本人なら中国に不快感を持ち、拭えないほどの嫌悪を感じていて、その修復は簡単ではないだろう。
ましてやこれによって中国在住の日本人に危害がおよぶことになればなおさらである。そのなおさらが現に起ころうとしているのに、中国政府は見て見ぬ振りどころか、さらに煽り立てているとしか思えない。迷惑電話の奨励など、信じがたい歴史に残る愚かな行動である。最も迷惑を受けているのは原発事故により被害を受けた人たちである。弱者を弱者だからいじめるというのは、その品性において下劣な行為だ。
その尻馬に乗って、政府という権力者に楯突くのは正義だと勘違いしている輩が何やら言っているが、日本人として腹が立つ。まして事故当時に官房長官として事故の状況を国民に正直に伝えていたとはとても思えない人物だった、某枝野という人が何やら批判めいたことを言っているのを見せられると、どの面下げて言っているんだ、とその所属党ごと軽蔑してしまう。
« 分かるということ | トップページ | 旅と歴史 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 「終活、お任せください」(2025.04.19)
- ぼんやりする(2025.04.19)
- 責任(2025.04.19)
- まるで違う(2025.04.18)
- まぜご飯(2025.04.18)
コメント
« 分かるということ | トップページ | 旅と歴史 »
こんにちは
私も同感で、やはり東電や政府はきちんと謝罪と検証を終えてから処理水を放出すべきでした。いくら科学的に害はなくても道義的な点では問題があると思っています。これでは中国や韓国の野党につけ込まれても文句は言えないでしょう。
しかし、左翼と言われる連中の非科学的な態度には辟易しますね。あの連中は恐らく小学校の理科の知識すらなさそうです・・・。これでは政府も東電も彼らの話は聞かないのは当たり前だと思います。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2023年8月29日 (火) 15時00分
shinzei様
筋をはずしているからこじれるのだと思います。
満杯でどうしようもなくなったから、というのは全く理由にも説明にもなっていません。
明確ではなくとも国民はそれを感じているので不快に思っているのだと思うし、中国もそこにつけ込んできているのだと思います。
投稿: OKCHAN | 2023年8月29日 (火) 15時43分