お茶にはいろいろな種類がある。六年ほど前までは中国にしばしば行っていて、行くとたいていお茶を買って帰った。中国でもいちばんよく飲まれるのは緑茶だが、発酵茶も多いし、また薬草茶もさまざまにある。一緒に行く友人などは、またか、と言う顔をするが、いろいろ買って帰ってもたいていは飲みきる。いちばん好きなのは白茶という軽発酵のお茶で甘味があって美味しい。しかし横浜の中華街で安い白茶の大袋を買ったら、甘味がなくて中途半端な味でガッカリしたことがある。
いわゆる紅茶は中国では黒茶と言うが、これもさまざまだ。鉄観音などもこのたぐいだと思う。値段がピンキリで、やはり高いものはたいてい美味しい。雲南省には二度行ったが、二回ともプーアル茶を買った。お茶を特殊なカビづけをして発酵させるが、安いものは3~5年、高いものは10年以上寝かせたものだ。父の長寿祝いに奮発して20年ものを買ったことがある。すこし飲んだだけで父はなくなり、誰も飲まないので私が残りを飲んだが、やはり安いものとは格段に味が違う。安いものはカビの臭いや土の臭いがして、日本人にはあまり好まれないようだ。
血糖値を下げる効果は私が経験的に確認している。糖尿病で、高い血糖値のままならインシュリン注射が必要になると言われたとき、意識的にプーアル茶を毎日がぶ飲みした。一か月ほどしたら医者が驚くほど血糖値が下がり、インシュリン注射の常用はまぬがれた。もちろんお茶だけではある程度下がったところで止まってしまい、完治することはできなかったが。だからプーアル茶はいつも常備している。
紅茶が好きなことを知っているので、息子がいろいろな種類の紅茶の詰め合わせを送ってくれたことがある。その中のアールグレイがとても美味かった。それ以来紅茶と言えばアールグレイを飲むことが多い。今年も息子からお茶の詰め合わせが送られてきた。
むかしレモンティをよく飲んだが、考えてみたら紅茶の香りをレモンで殺しているのであって、もったいないことであった。その紅茶の香りと味を損なわないように柑橘系のベルガモットで香りづけしているのがアールグレイだから、私の好みに合うのである。
香りのお茶と言えば、ジャスミンティも好きで、ときどき飲む。中国ではお茶に花の香りを移したものがいろいろ売られている。蓮の花の香りを移したものなどもあって心を静めるのに好い。蓮茶はベトナムで飲み、土産にしたが、それはすこし香りが弱かったのが残念だった。バラの香りのお茶も試したけれど、これはすこし香りが強すぎて化粧品みたいであった。
緑茶にしても千差万別、値段も味もさまざまで、良いお茶を上手に淹れると本当に美味しい。娘が淹れると私が淹れるよりもいつも美味しいのが不思議だ。お茶の淹れ方にも上手下手、個性がでるようだ。一時期抹茶を飲んでざわつく精神を静めようとした。お茶を点てて飲むと心が静まる。しかし最近は余り茶を立てない。茶を点てるときは茶菓子が必須で、茶菓子も一つだけ買うわけにも行かず、ついあると余分に食べてしまうので、糖尿病に良くない。それで我慢している。
ほうじ茶は焙じているときの香りは好きなのだが、ほうじ茶そのものはあまり好きではない。玄米茶も体に良いらしいが苦手である。それなら番茶の方がはるかに美味しい。
お茶についての知識もあまりないし、飲み比べてその差がどこまで分かっているのか自信はないが、そのときどきで手元にあるいろいろなお茶が楽しめるのはありがたいと思っている。なにしろ糖尿病と泌尿器科の疾患を抱えているので、お茶は私の薬みたいなものなのである。
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