可決
アメリカ下院で、マッカーシー議長解任が可決された。解任を提議したのは共和党超強硬派の議員である。ほとんどの共和党議員はこの動議に反対して、強硬派八人だけが解任に賛成した。ではどうして可決されたのか。民主党の議員がみな賛成したからである。
解任提議の理由は、マッカーシー議長が民主党に妥協してつなぎ予算に賛成したからである。つなぎ予算を可決しなければ、アメリカ政府は機能不全に陥る。それがわかっているからマッカーシーとまともな共和党員は民主党と手を結んだのだ。ある意味で国家のことを考えたと言える。民主党は与党としてバイデン大統領の政府を支援しなければならない。
いま、共和党で下院の議長を務め、党内をかろうじてながらまとめられるのはマッカーシーしかいないのだという。そのマッカーシーですら議長に選任されるまで15回も選任決議が必要な騒ぎだったことは記憶に新しい。マッカーシーが解任されれば、次の議長になりそうな候補は今のところ見当たらないという。つなぎ予算は45日間だけ有効である。しかし候補もなく、もし手を挙げる者がいてもマッカーシーのときより紛糾することは目に見えている。45日で議長がきまるとは思えない。
それなら国家予算は執行不能に陥るのは明らかで、アメリカという国家がどうなってしまうのか、全く絶望的となった。マッカーシーを解任せず、ふたたび共和党と手を組んで次にも予算を可決するしかなかったのである。それなのに民主党はマッカーシー解任決議に賛成した。それはまさに共和党の超強硬派と同調したことに他ならず、バイデン大統領の足を引っ張り、アメリカ政府を機能不全にすることに票を投じたことになるのではないか。
想像するに、これは来年のアメリカ大統領選挙に向けての駆け引きが背景にあるのだろう。共和党の内紛を国民にアピールできると民主党は思っているのだろう。国家よりも選挙、などという愚かしさこそ、民主主義の欠陥を露呈させることになり、国家運営を困難にさせる。私にはアメリカ政治は崩壊しつつあるか、すでに崩壊しているように見えている。日本にとっては極めて心配な事態である。ロシアや中国は大喜びだろう。敵対国を利する行為をしていることにも思いが至らないとはなんたる愚かなことか。
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