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2023年11月 8日 (水)

イギリスから来た男

 『イギリスから来た男』は1999年のアメリカ映画。スティーヴン・ソダーバーグ監督、主演はテレンス・スタンプである。刑務所に収監中に娘の死の知らせを受け、出所して死の真相を知るためにイギリスからロサンゼルスにやってくる。

 

 娘はすでに交通事故による死亡として処理されているが、酒を飲み、しかも麻薬も摂取しての事故というのが男には納得できない。彼自身は放埒な人生を送り、刑務所に服役を繰り返してきた男だが、娘はそのような父親を少女のころから激しくいさめつづけてきた。そういう娘だからついには愛想をつかせてアメリカに移り住んだのだ。そんな娘が飲酒運転や麻薬摂取などあり得ない。

 

 そうして彼は、娘が交際していた有名な音楽プロデューサーにたどり着く。演じているのはピーター・フォンダ。彼が娘の死に関係していることを確信した男は、行動を開始する。

 

 フラッシュバックが多用され、シーンが細かくカットされて、さらに台詞も繰り返されたりする。普通の、ストーリーを追うだけの映画ではなく、ちょっとしゃれた前衛的なスタイルの映画で、映像もなかなか好い。こういう映画は嫌いではない。高いレンガの壁の前を男が通り過ぎるシーン(繰り返しあらわれる・刑務所の壁の象徴か)に『バクダッド・カフェ』という映画を思い出した。

 

 何よりテレンス・スタンプが絶品である。じっと見つめる眼。寡黙でほとんど表情が変わらない。今回は、私の好きなクリストファー・ウォーケンにちょっと似て見えた。その男の中でなにが燃えているのか、それがいくつも挿入される説明のない回想シーンで観ているこちらに次第に伝わってくる。男の若いときのシーンは、テレンス・スタンプ自身の出演した映画の過去の映像が効果的に使われている。テレンス・スタンプを初めて観たのはパゾリーニの『テオレマ』という映画で、これは忘れがたい。それ以来ずいぶんたくさん彼の出演した映画を観てきた。

 

 テレビでは決してこういう作品は作れない。映画の素晴らしさを実感する。といいながらテレビで録画を観ているのだけれど。

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