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2023年11月18日 (土)

年越しに

 ストーブは出したが、炬燵はまだ据えていなかった。ようやく今日それを据えたのは、炬燵を据えるとなるとその周辺を片付けて掃除をしなければならないからで、つい先延ばしにしていたのだ。出しては読み囓り、そのままになっていた本の山を、まず選別して数冊だけにする。それだけで半分済んだようなものだ。掃除機をかけ、炬燵を据えて座り込む。なんと心地よいことよ。

 

 本の山がないとなんとなく寂しい。つい本棚の本を眺め回す。引っ張り出したのは奥野信太郎の本だ。奥野信太郎に出会ったのは東洋文庫の『随筆北京』という本で、東洋文庫に収められた日本人の書いた中国に関する随筆では、この『随筆北京』、そして石田幹之助の『長安の春』、青木正児(まさる)『江南春』の三冊が私の宝物で、読み切っていない本の多い東洋文庫の中でこれらだけは二度も三度も読んでいる。読んでいると陶然とするほどすばらしい。

 

 奥野信太郎の随筆をもっと読みたくて、福武書店版の『奥野信太郎随想全集』全六巻、別巻一巻を揃えた。こちらもすべて一度ならず読んでいる。こちらの全集にも『随筆北京』が収録されているが、東洋文庫版は旧漢字旧仮名遣いなのに、福武版は新仮名遣いになっているのが残念だ。幸い独特のふりがなはそのまま残されているからかろうじて我慢している。書かれた時代の空気はその時代の言葉で書かれていないとその良さが半減してしまう。文庫本の中にはひどいのがあることを高島俊男もこき下ろしていた。特に言葉の註がひどいのが多い。どうでもいいものに註があり、知りたいところには註がないことがある。その点、東洋文庫の註は必要なところに本文より多いほどあって、読みでがある。

 

 年末はもう何十年も紅白など見ないで静かに本を読んで過ごす。今年の年越しはこの奥野信太郎の随筆を楽しむことにしようと早くも決めた。

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コメント

こんばんは
私ももう20年は「紅白」を見ていません。大体大晦日の夜はNHKでもEテレの『第九』を見た後『紅白』の終わりを見て『ゆく年くる年』を見ています。
ところでよく言われることなのですが、最近NHKでもKpopを扱うのが多くなり『紅白』でも出演する人たちが多くなりました。これについて「お前はいい言語をやった」とよく言われます。しかし、いくら韓流がブームでも私が大学で朝鮮語を学んでいたのはその前なので全然韓流については詳しくありませんし関心もありません。
まあ、時流に乗れなかったのもあるのですが・・・。
では、
shinzei拝

shinzei様
一時期韓国のドラマの中になかなか見応えのあるものがありましたが、玉石混淆で、あたりがあまりなくなったので今はほとんど見なくなりました。
もともと日本のチイタカタッタ(ダンスメインのグループ)が苦手なので、似たようなものにしか見えないk-popはまったく興味がありません。
私が紅白を見なくなったのは、高校生のときからで、五十年以上になります。

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