私はバカだから
バカは、私はバカだから、とはいわない。自分がバカだと気づけないのがバカだから。
数日前のプライムニュースにゲストとして元外務官僚だった宮家邦彦と思想史家の先崎彰容が呼ばれていた。面白い組み合わせだった。面白いというのは、あまり同じ枠組みとしてならぶ人たちではないということである。世界の紛争についてリアルで語る宮家邦彦と、哲学的に思想史的に捉える先崎彰容の言葉がかみ合わない。ファクトと歴史的タイムスパンを伴う言葉はちがうものだからだ。
そこで宮家邦彦は先崎彰容の言葉に、一度ならず繰り返し「私はバカだからわからないけれど・・・」と前置きを置いてから持論を語っていた。
宮家邦彦がバカだと思う人はあまりいないと思うし、そのことを宮家邦彦も自覚しているはずだから、ちょっと嫌味に聞こえた。つまり、先崎彰容のいうことは理解するつもりはないとの表明に聞こえたのだ。なぜなら私はバカでありわからないというのは「理解するつもりはない」という意味の言い訳であろう。
先崎彰容の言葉は表面上の言葉の裏にさまざまなものを含めているので、まず聴き取ってから、すこし頭をめぐらせて咀嚼してからでないとわからない。テレビ的な、直観で語る言葉を直観で聴くことに慣れていると、先崎彰容のような言葉を聴くのは七面倒くさく聞こえたのだろう。
思い出すのは、元自民党の重鎮で、ご意見番でもある伊吹文明が、プライムニュースで先崎彰容と同席して、彼のいうことを瞬時に理解して適切に答えを返していたことだ。引退しても頭脳の明晰を維持しているらしい。
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2025.04.15)
- 『ゴールドサンセット』(2025.04.14)
- ドラマ三昧で忙しい(2025.04.13)
- 『エンド・オブ・パリ』(2025.04.12)
- 『ダークネスマン』(2025.04.11)
コメント