好きな時代劇ドラマ
藤沢周平の『三屋清左衛門残日録』は、彼の数多くの作品の中で最も好きなものだ。BSフジでは北大路欣也が主演でドラマ化していて、過去のものを含めてこの暮に一挙に全六回で放送してくれている。昨日は最初の二作品が前後編の形で放送されたのを観た。一度観たものだけれど、大いに楽しめた。出演する俳優も好い。とくに寺田農が好かった。
だいぶ前にNHKでも連続ドラマ化していて、そのときは仲代達矢が主演していた。このときのかたせ梨乃は好かった。毎週楽しみに観ていた記憶がある。
主人公が隠居したての初老の男というのが、この歳になるとその主人公のさまざまな思いに共感できて一入(ひとしお)思い入れを感じるというところがある。
舞台は藤沢周平が作り上げた海坂藩という東北の藩であるが、これが彼のふるさとである庄内の、庄内藩とオーバーラップするのは、かれがその風景を想定して描いているから自然なことであろう。私の父の生まれがその近くであるし、映像に使われている最上川の流れ、遠望される月山や鳥海山は私にはなじみのある懐かしい景色でもある。
ところで、しばらく前の『英雄の選択』で、幕末の庄内藩が取り上げられていたのを興味深く観た。奥羽列藩同盟で、会津藩が降伏した後も最後まで勤王軍に抵抗した庄内藩について、それを指揮した酒井玄蕃という人物を取り上げていた。庄内藩の藩主はもともと徳川四天王のひとり、酒井忠次を祖とする。酒井玄蕃は藩主の酒井家の分家筋に当たる。
酒井家といえば、三方領地替えという幕府の無理筋を酒井藩の領民が挙げて抵抗し、その命令を撤回させるという前代未聞の事件があった。このことは藤沢周平も『義民が駆ける』という作品で詳細に描いている。それによって酒井家は明治まで、いや明治の時代も庄内の殿様として存続した。そのことも藤沢周平の庄内藩についての思い入れに深く関わっているのだと思う。
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