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2023年12月 4日 (月)

勇気について

 内田樹『街場の成熟論』(文藝春秋)という本を読了した。いろいろと思うところがあったので、そのいくつかをブログに残しておこうと思う。最初に『勇気について』という短い文章から。

 

 「いまの日本人に一番足りないものはなんでしょう」と訊かれた(訊かれたのは内田樹である)。少し考えて「勇気じゃないかな」と答えた。
 1950年代の少年に求められた資質はまず勇気だった。

 

 内田樹と私はともに1950年生まれ、知的能力には大きな差はあるが、同じ時代の同じ空気を吸ってきたから、いうことはよくわかる。

 

 勇気というのは孤立を恐れないことだと思う。自分が「正しい」と思ったことは、周りが「違う」と言っても譲らない。

 

 そうして時代が変わり、「勇気を持て」という教えが衰退し、「友情・努力・勝利」が新しい徳目に替わった。

 

 勇気が最優先の徳目であった時代に、それに続く徳目は「正直と親切」であった。「勇気・正直・親切」と「友情・努力・勝利」はまるで違う。
 正直と親切はパーソナルなものである。目の前にいる生身の人間に対して真率な気持ちを向ける、ただそれだけのことである。それはなにかを達成するための手段ではないし、その成果について客観的評価が下るというものでもない。自分の気持ちが片付けばそれでいい。正直に語ったが「嘘つき」と呼ばれ、親切にしたが「不人情」と罵られたというようなことはよくある。人生、そんなものである。
 でも努力は違う。努力したかどうかで事後的に、客観的かつ外形的に検証される。

 

 なるほど、時代はそうやって遷移したのだ。

 私は勇気が足りなかったから、勇気が欲しかった。だから格闘技を身につけて、腕力がつけば勇気が持てると思ったが、違った。おとなになって、いやなことから逃げずに経験を重ねたら、いつのまにか人前でも話せるようになったし、他人と違うことを恐れなくなった。損得でものを考えないように意識できるようになった。勝つことにこだわらなくなった。私がスポーツにあまり共感しなくなったのは、努力することや勝つことにそこまで思い入れができなくなったからかも知れない。 

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コメント

左派系の知識人の言説には胡散臭さがつきまとい、
個人的にはまった信用していません。内田樹もその一人。
彼は赤旗紙面によく登場する共産党シンパ(党員ではないようですが)。

≫勇気というのは孤立を恐れないことだと思う。自分が「正しい」と思った   
ことは、 周りが「違う」と言っても譲らない。

これって日本共産党の体質そのものですね。
内田樹は元学生運動家だったみたいですが
その昔、「連帯を求めて孤立を恐れず」というスローガンがあったことを思いだしました。

ss4910様
おっしゃることはよくわかります。
彼はまさに熱心とはいいがたいものの、学生運動家に与していた時代があります。
たしかに、いまも彼の政治的スタンスは私とは相容れません。
しかし彼の言説は傾聴に価するものがあると思っています。
教育に関するものなどは、全面的に賛同しています。
苦痛かも知れませんが、著作を選んで一度我慢して読んでみる値打ちがあると思います。
ものの見え方が変わるかも知れませんよ。

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