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2024年1月 6日 (土)

信用ということ

 信用は目に見えない力だという信奉があったはずだが、現代は信用などというものはお人好しのたわごとだと思われるようになったらしい。信用よりも目先の損得の時代のようだ。中国やイスラムでは信用などと言うものは存在しないかのように見えるけれど、実は信用が最も重視される社会だという。ただしその信用は身内に対してのみ存在する。身内でないものを信用することなどけっしてしない。信用できるものとできないものが峻別されている。

 

 ヨーロッパやアメリカは契約社会だ。神との間に契約が交わされているという信仰を信じている。だから聖書は新約聖書とか旧約聖書のように約束という言葉を含んでいる。信用とは約束を守ることだ。だから欧米は契約や法を、なにより犯さざるべき重要なものと考える。

 

 日本にはそう言う確たるものがなくあいまいである。むかしはあったけれど、いまは失われたような気がする。約束は他者と交わす。約束の前では自己と他者は同格であろう。ところが自己が肥大化しすぎると、その約束が自己都合で軽くなる。信用の意味が軽くなり、力を失ってしまった。戦後教育は自己の肥大化を刷り込み続けたことで信用を形骸化させた。

 

 そのことの結果が、企業の相次ぐ不祥事発覚であろう。信用が大事だと思う気持ちを失えばこうなるだろう、という結果を繰り返し見せられている。

 

 その信用を回復するとか、信頼を取り戻さなければならないとか、どこかの首相が会見の度に口ぐせのように語っている。ますます信用や信頼が軽くなっていくようである。

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