『落日』
湊かなえの小説を原作とするWOWOWドラマ『落日』(全四話)を観た。出演は北川景子、吉岡里帆など。北川景子については偏見があり、私は評判のように美人とは思えないのだが、それは多分に似た顔立ちであまり印象の良くない人の思い出が影響しているのかも知れない。だからどちらかといえば嫌いだったのだが、このドラマで多少修正された。思いだしたくない過去から目を背けずに、真実を明らかにすることで乗り越えようとする女性を好演していたと思う。
新人の女性監督(北川景子)は一作目にして海外の映画賞を取り実力が高く買われていた。その彼女が二作目のテーマにしようとしたのが十五年前の一家三人殺害事件だった。犯人は一家の長男(竹内涼真)で、妹を刺殺したあと家に放火し、両親共々焼き殺した罪ですでに死刑判決が確定して死刑執行を待つ身である。彼女は周囲の反対を押し切って著名脚本家(黒木瞳)の助手で、まだ採用されたシナリオが一本だけという新人の脚本家(吉岡理帆)に脚本を依頼する。
彼女に依頼したのは、事件の起きた笹塚町の出身であることで、地理的知識があること、そして事件の関係者に尋ねやすいだろうということであった。そして・・・監督自身もその笹塚町の出身者であり、実は幼いときに事件のあった家族とわずかながら関わりがあった。殺された一家の、当時高校三年生の妹、犯人の青年の人となり、表に見えていた顔と実際の人格などが関係者との面談から次第に見えてくる。
そして彼女たちの想像を超えて事件が彼女たち自身の過去とも深く関わっていたことがわかっていくとともに、驚くべき背景の真実が明らかになる。
ミステリーとしてはとても上出来で、楽しめた。
一昨日からどこにも出かけず、本も読まずに何本か映画を観ていた。『サバイブ 極限死闘』という2022年のアメリカ映画が、題名から想像できないようなかなりできの良いサバイバル映画であった。死にとりつかれた女性が極限状況で生きる力を湧き上がらせていくという仕立ては面白い。出だしはしばらく延々と治療のサナトリウムにいる彼女の異常な精神状態を見せられてうんざりするかも知れないが、後半が素晴らしいので我慢する必要がある。ほかに二本ほど観たが、駄作ではないがとりたてて取りあげるほどのこともないものなので省く。
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