『カラフル(2010)』
アニメ映画『カラフル(2010)』を観た。森絵都原作のこの作品は以前に一度実写版もつくられているので『(2010)』がついている。冥界で投げやりな気持でいる「ぼく」は、天使らしき少年から、君にはもう一度生きるチャンスがあたえられた、と告げられる。そのための試練として自分の犯した大罪を思いだすこと、という命題をあたえられる。そんなチャンスはいらないと一度は断るが、強引に下界に下ろされる。そもそも過去の記憶がまったくない「ぼく」には、自分が罪を犯したといわれてもその記憶が無いのである。
こうして「ぼく」は、服薬自殺をして病院のベッドで臨終を迎えた中学三年生・小林真として再生する。死を告げられた真のそばには両親と兄がいた。奇跡に喜ぶ母親。そもそも真としての記憶がないので、どう対処していいか分からない「ぼく」は成り行きにまかせる。こうして真としての生活が始まる。
真という少年がどういう少年なのか、家族はどういう人間たちなのか、次第に知るようになった「ぼく」は学校に再び通い出す。そうして真がどういう少年だったのかをさらに知っていくが、それに合わせようというのではなく、他人事として好きなように生き始める。投げやりであることがかえって強さにつながるという不思議な事態が起きていく。
彼は果たして命題をクリアし、仮ではなくほんとうに生き返ることができるのか。答えは観ていけばたいていの人は「ぼく」よりも先にわかると思うけれど、それがささやかな感動を生むのはお決まりのことで、それが気持ちが好い。だれでも自分を他人として見ると生きるのが楽になることがあるかも知れない。そういえば営業を始めてすぐのころに、先輩から、人に会うときは仕事をしている別の自分として演技すると楽だ、と教えられた。その通りだった。自分を自分として追い詰めては苦しくなるものだ。
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