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2024年2月16日 (金)

酒のつまみ

 名古屋へ転勤する少し前に二年ほど新潟地区を担当することになった。前任から出張の拠点にする長岡の飲み屋を教えてもらった。その一軒の小さな居酒屋がお気に入りで、酒が好きで気の置けない得意先の人とよく飲みに行き、相手がいないときは独りで飲みに行った。

 

 日本中の銘酒が一升瓶で並べあり、飲みかけはその一升瓶のままでキープできる。飲み始めれば空けてしまうという剛の者も多い店だった。日本酒好きにはたまらない店だ。店は三十半ばの若い亭主とその妻女だけで切り盛りしていた。店は開いて間がなく、料理が大好きで店を始めたけれど、資金を補填するのに昼間は仕込み以外の時間を大工の手伝いなどをしているのだ、と店主は笑った。

 

 その店を思い出したのは、卓上の電熱ヒーターで樺太シシャモを焼いていたときだ。その店でよく食べたつまみの一つに油揚げにネギと納豆を詰めて焼いたもので、カリカリに焼いてもらったものをショウガ醤油で食べる。香ばしくておいしい。長岡の近くに栃尾という街があって、ここは油揚げが名物である。厚揚げに近いものからよく揚げてあるもの、特大のもの普通のものと千差万別で、店が多いから競争もあってとにかくおいしい。それを使うのだからそのつまみもうまい。

 

 ほかには大根を薄切りにして冷凍庫で一時間ほど冷やし、梅肉を薄くのせて二枚で挟んでシャリシャリするのを食べながら飲む。大根が好くないとうまくない。大根の味の違いがこれほどわかる食べ物はないと思う。それとイカのワタ(肝)をガーゼで包んで味噌床に付け、一日か二日したら取り出して冷凍庫で凍らせる。凍ったやつを食べる直前によく切れる包丁で薄くスライスしたものを食する。凍っているからできることだ。これはみるみるうちに融けていくので、飲みながら素早く食べなければドロドロになってしまう。この世にこれほどうまいつまみがあるか、というほどのものである。

 

 これはスルメイカのワタが一番適する、と店主はいっていた。新鮮なイカがないと作れない。私がのれんをくぐるのを見た店主は、わずかな仕草で今日はそのワタがあるかないかを知らせてくれる。大好きであることをよく承知してくれていた。どれも自分でも造れるような酒のつまみで、ただし、素材の味がすべてを決めるので、それを選ぶ眼力がなければならない。どれももちろん作ったことがあって、それなりに食べられたが、似て非なるものとなった。

 

 いまスーパーには五センチ角くらいの小ぶりの油揚げが売られていて、いかにもネギ納豆を詰めて焼くのに手頃である。卓上の電熱ヒーターで久しぶりにそれを作ってみようと思う。酒は新潟新発田の八海山にしようか。そういえば若い友人から福井の絞りたて原酒が届いたところだ。それと飲み比べも好いなあ。

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