反省するかさせられるか
小学校の四年生くらいの頃だったと思うが、クラスに自閉症の女の子が転校してきたことがある。普通の転校生のつもりでいろいろ話しかけたら、目を見開いて唇を震わせ、涙をポロリとこぼした。自閉症の人はそういうときの対応がとっさにできなくて混乱して苦痛を感じるのだ。驚いて、どうして泣くのだ、と強く言ったらさらに涙がこぼれた。そのときは自閉症ということについて知らなかったし、そのような注意も先生から聞いていたような記憶がない。そもそもその教師は少し鈍感なところのある教師で、私もいやな思いをさせられた記憶があるが、多分悪気はなかったのだろうと今ならわかる。
私はこれはだめだ、と思ったけれど、別の子にしつこい子がいて、泣けば泣くほど嫌がらせをしているのを見て、不快に思った。けれど、止めなかった。二三ヶ月でその子はクラスからいなくなった。別に事情もあったのかもしれないが、耐えられなかったのだろうと思う。今でもそのことを思い出すのは、そのときの自分自身がいやな自分だった気がするからで、もっと優しくできたはずなのにと悔やまれる。いじめたつもりは毛頭なくても、彼女にとってはいじめだったのではないかと、繰り返し思い出しては反省し続けて、忘れることができない。
こちらに悪意がなくても、相手が苦しんだのが見えたらそのことに後悔があるのがまともで、そこに反省する気持ちも起こる。同時に人というのは、事故など、自分が悪い結果を生んだときには、それについて必死で言い訳を考えるのものでもある。自分は悪くないと思いたいものである。そうしてその結果に直面したくないから隠蔽したり逃避したりする。実際に隠したり逃げたりしない人でも、なんとかならないかと思わない者はないだろう。
そこで自己正当化のあまりに巧みな人は、相手が悪い社会が悪い、という論理で自分の責任を引き受けない。本気でそう思うから反省もない。何しろ自分は悪くないのだから。反省する人は反省するが、反省できない人がいて、ではその人に反省させるにはどうしたらよいのか。反省せざるを得ないように社会的な罰則というものがあって、その罰則が反省させることにつながるはずなのだが、どうもそれがそうではないことが多いようだ。
だからこその社会的な制裁という名のネットでの非難につながっているようで、しかもそれが正義の名の下に行われ、それが相手を苦しめても反省がなくて、それを反省させるためには・・・。
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自己正当化の巧みな人間はわが親族にも居ます!
幼い頃から1から10まで”自分は悪くない”立場の人間。
これが事実上夫が留守の我が家の不動産について口を出すようになりました。彼は私の妹を通じてわが家の敷地を測りに来るというのです。驚きましたね。。
現在、まがりなりにも一人を楽しんでいる私はいったいどうするの。そりゃ、年はとっているものの、身体も頭もまだ元気!!?チョーむかつく!!とはこの事!
夫は死んだわけではないし、認知症といってもそれは医師の見立てでごく初期。まだまだ頭はしっかりしています。
口出ししてきた彼は私の姉の子供「姉は昨年亡くなりました」、甥は現在62,3歳・・・。私と彼とは普段特に親しいという間柄ではないし、この件で、甥に何の相談もしていない!
それに、この件でわが家にはプロの弁護士がかかわっているので甥の出る幕はない筈なのに!
投稿: オキヨ | 2024年2月15日 (木) 12時59分
おキヨ様
そういう話は聞いていても大変だろうなあと思います。
友人も親類との係争案件があって、大変苦しんでいます。
理不尽にしか思えませんが、相手は自分のことしか考えず、しかも自分が間違っているかもしれないとはつゆほども考えず、誠に不愉快だろうと思います。
そういえば私も義理の兄夫婦と、妻のことで法的な争いとなりましたが、係争中は精神的なストレスが大きくて、大事な人生の時間を浪費させられた気がしています。
第三者に委託するしかないでしょうね。
おキヨ様もなんとか精神的な不快感を発散させるようにできると良いですね。
投稿: OKCHAN | 2024年2月15日 (木) 13時12分
またまた貴ブログに関りの無いことを書いてしまい、見境なく怒ってしまいました。
こういうことがあると、長年ブログの友としての貴方様に年甲斐もなくつい甘えてしまいます。ご勘弁を・・・。(❁´◡`❁)
投稿: おキヨ | 2024年2月15日 (木) 13時16分
おキヨ様
ここに書いて発散できるなら、どうぞどんどん利用してください。
何もできませんが、読んで考えさせていただくことくらいはできます。
投稿: OKCHAN | 2024年2月15日 (木) 14時45分
ありがとうございます!
つい昨年まで夫の支えがあって老いの身の不安をさほど感じていなかった呑気ものでしたが、一つぐらついたところから急激な不安に襲われるものですね。今までこういう事態に襲われる、という事を露ほども考えなかった浅はかさ…。
現実には今すぐにどうこうなる・・・という問題でもない。少し落ち着こうと自分に言い聞かせています。
それから4月頃わが家を訪問する予定の弁護士を待ちます。
投稿: おキヨ | 2024年2月19日 (月) 12時41分
おキヨ様
他人事だからいえることがありますが、当事者になると不愉快が増幅して不安になるものです。
相手はこちらをできるだけ不安にしようと努力していますから、相手を喜ばせることはないです。
理不尽に立ち向かってください。
投稿: OKCHAN | 2024年2月19日 (月) 13時19分
ありがとうございました。
おかげさまで少し落ち着きました。
貴男様が長年ブログの友で本当に良かった!
投稿: オキヨ | 2024年2月19日 (月) 16時21分
おキヨ様
おそれ入ります。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: OKCHAN | 2024年2月19日 (月) 17時19分