『ラストキング・オブ・スコットランド』
大分前に録画していた映画『ラストキング・オブ・スコットランド』(2006年イギリス・アメリカ)を見た。主演はフォレスト・ウィテカーとジェームズ・マカボイ。フォレスト・ウィテカーが演じるのはウガンダの独裁者アミン大統領である。内容を想像させないこの不思議な題名の意味は映画を見ると理解できるが、説明で書くと冗長になるのでやめておく。
弟と1970年の大阪万博を見に行った。人気のアメリカ館やソビエト館には長い行列が続いていて列ぶ気がしなかった。入れるところを次々に覗いていき、そのときにアフリカの国々の小さな展示館にも立ち寄った。多くが民族館の様相だったが、ウガンダだけは違っていて、近代化したウガンダの現在を誇示するものだった。教育、文化を大事にして民度を挙げることに成功したことが謳われていて、そういうウガンダという国を初めて知った。あまり立ち寄る人のいない展示場の片隅で、大柄の黒人が英字新聞を読みながらこちらをチラチラ見ていた。そのことが強く印象に残った。多分ウガンダの人であろう彼は、何を感じていたのだろう。
その後にアミンが大統領になり、アフリカのダイアモンドと言われたウガンダを成長発展させたかに見えたが、次第に狂気に走り、独裁が暴走し始めたことが報道された。ウガンダについては常に意識してニュースを見ていたのでその報道に心を痛めていた。ウガンダはどうなったのか。
映画では、たまたま辺地医療に飛び込んだスコットランド出身の青年医師が、大統領就任直後のアミンを治療したことで気に入られ、専属医師として、ついには顧問として身辺に常に従うことになる。その青年を演じていたのがジェームズ・マカボイで、彼の目を通して見えたアミンが描かれていくのだが、彼に見えるものと見えないものがあるのは当然のことで、最後に衝撃的な結末を迎える。
イギリスは植民地としてのウガンダを、独立してからも手放さずに関与し続けたが、その光と影はウガンダという国にどう射していたのか。そして報じられたり映画に描かれていたアミンと現実のアミンはどう違うのか同じなのか、そんなことを考えさせられた。ウガンダは教育程度も高く都市部の近代化は進み、いまでもアフリカのダイヤモンドであることに変わりはない。その国の人々が少しでも幸福であることを願っている。
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