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2024年2月 2日 (金)

『惜別』

 太宰治の『惜別』という長編小説を読了した。太宰の本は若いころ少しだけ読んだけれど、読んだのは短いものや、『富岳百景』、『走れメロス』、『御伽草子』などで、有名な『斜陽』や『人間失格』はいまだに読んでいない。いろいろ昭和文学の書評を読んでいると、太宰を読まなければいけない気になって、少し前にちくま文庫の『太宰治全集』全十巻を購入して棚に並べてある。短いものを拾い読みしていたが、『北のまほろば』という番組から太宰治の『津軽』という小説(全集の第七巻にあった)を読むに至ったことはすでに書いた。

 

 そのあとにおさめられていたのがこの『惜別』で、ある老医師の、仙台医専時代の周樹人との交遊の回想という仕立てになっている。周樹人といえばもちろん魯迅のことである。だから藤野先生も登場する。魯迅の全集(全六巻)も同じくちくま文庫で揃えていて、先日理由があって『藤野先生』を読み直したばかりなので、何だか不思議な巡り合わせを感じる。この魯迅全集は竹内好がひとりで翻訳編集を行った。そしてその竹内好が、この『惜別』に思いを寄せてくれたこともあとがきに記されていて、ちょっと嬉しい気がした。何しろ読んだばかりの先崎彰容の取りあげた、時代と格闘した人たちのひとりにこの竹内好も取りあげられていたからだ。

 

 この小説の出来は素晴らしい。太宰治がどれだけの作家であったのか、『津軽』を読み、この『惜別』を読んで初めて心の底から理解した。これで近々『斜陽』や『人間失格』を読む気になった。

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

学生時代に太宰治の小説を読みました。
読んだと言っても乱読ですから、かすかにあらすじを覚えている程度です。
斜陽&人間失格・・・読んでいます。
学生時代、人間関係に悩んだりしていましたから、人間失格の題に引かれて
読んだ記憶があります。
OKCHANさんの読後の感想があれば読みたいです。

マーチャン様
遠からず読んで見ようと思います。
『津軽』も『惜別』もよかったですよ。

こんばんは
私も中学卒業直後から古本屋に通って太宰の本(新潮文庫)を買い集めては読みふけっていました。太宰が面白いのは前期のちょっと行かれた自分を演じている小説群も良いのですが、後期の戦後社会に対する絶望感を感じさせる作品群も面白いです。
中期の作品では特に『待つ』という掌編が光っていると思います。単に女性が何かを待っている、という作品なのですが、この人は何を待っているのだろうか?と考えさせてくれる作品である意味太宰らしさが十分に発揮された作品だった。と思います。
では、
shinzei拝

shinzei様
まだ太宰治の全体の把握はできていませんが(できそうもありませんが)、太宰が評価されることについて得心したところです。
全集の文章をこれから味わおうと思います。

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