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2024年3月 3日 (日)

『浅茅が宿』

 『雨月物語』の中で私が一番好きな話である『浅茅が宿』を読んだ。秋には必ず帰ると言って、都へ商売に行った夫・勝四郎を待つ妻の宮木だったが、時は応仁の乱に続く戦乱の世となり、勝四郎は帰ることができなくなり、そのまま成り行きで七年の歳月が過ぎてしまう。ようよう帰り着いた我が家に待って居たのは・・・。

 

 映画『雨月物語』はこの話をベースに作られていた記憶がある。勝四郎を森雅之が演じていたはずだ。相手役は京マチ子で、この人は映し方ではとてもこわい女性を演じることができる。『妖婆』という映画(原案は芥川龍之介の小説)の京マチ子は悪夢を見る程こわい。

 

 『浅茅が宿』の話自体はそれほどこわい話ではなく、どちらかというと悲しい話だ。怨みはあっても祟るということではないからだ。まだ大人になる前、初めて読んだときも宮木の絶望の深さを感じたが、今回はその時代背景をよく知るようになっているからひとしおその思いを深くした。怖いといえば『蛇性の淫』の方に怖さを感じる。あとで読むつもりだけれど。

 

 話の最後に、この『浅茅が宿』の舞台が下総の葛飾郡真間であることから、真間の手児奈の話が添えられている。この話も初めて読んでから頭にこびりついていて、この哀話は全国各地に類似の哀話があるのでそのたびに思い出す。

 

 真間という地は、今は市川市になり、京成線に市川真間という駅がある。若い頃、そこに先輩の住むアパートがあって入り浸ったが、ここが真間というところかと、雨月物語を思い出したりしたものだ。真間から江戸川沿いに少し遡上すれば矢切で、矢切の渡しを渡ればそこは寅さんの柴又である。

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