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2024年3月 6日 (水)

遠くから見る

 若いときから中国に興味があって、中国に関する本を普通の人よりもたくさん読んできた。父が専門学校を卒業して中国に行き、終戦後抑留から帰ってくるまでの10年以上を暮らしたところであり、断片的な話だけだが、その話を聞いていたことも影響しているのだと思う。父は時々は中国語の講座を見ていたし、中国のニュースに強い関心を持っていたと思う。自分の知っている中国語とずいぶん変わってしまったといっていた。父の思う中国と、情報が多少は入り出した文化大革命以後の中国の乖離をどう思っていたのか、それをもう少し聞いておけば良かったと悔やまれる。

 

 三十年以上前に、わずかながらのゆとりができて、それに中国に行きやすくなって、すぐに一人で中国に行った。それから延べにして二十回くらいは行ったと思う。仕事でも行った。それも五年くらい前を最後に打ち止めにした。一つは中国では何があるかわからないという不安を感じるようになったからで、一人で裏道や裏町、人の行かないところをうろついて写真を撮るのが趣味だったから、どんな誤解を受けるかわからない。それと訪ねたい場所の混雑がひどくなってきてゆっくり歩けなくなったからである。昔は海外からの観光客が大半だったのに、中国人が豊かになったことで、ほとんどが中国人になり、いささかそのやかましさに辟易するようになった。しみじみと過去の歴史を偲ぶ、などという贅沢がしにくくなったからである。

 

 中国の全人代の様子が報じられていた。中国政府、つまり習近平は今の中国の状態をどう認識しているのか、それがちょっとくらい見えるかと思ったが、よくわからない。中国経済が非常に深刻な低迷状態になったとみる専門家がいると思えば、それを否定する専門家もいる。矛盾しているからどちらかが間違っていると思われがちだが、もしかしたらどちらも正しいのかもしれないと思うようになった。それぞれの言葉をよく聞くと、どちらもなるほどと思えるからである。物事をどの切り口から見るかで見え方は大きく変わるものだ。

 

 それよりも、李強首相が、ほとんど習近平に対して報告しているように見えたことが印象に残った。多分そういう人ばかりが政権に加わり、生き残っているのだろう。王毅外相など、どこの国へ行っても中国の強大であることを背景に、上から目線で相手と対しているように見える。賢い人だが、その賢さが強い上昇志向につながって、いつも習近平を、そして中国国内での評価を意識しているようだ。もちろん国益を最優先にするのは当然としても、その目的が自分自身のためであるように見えてしまうのは私の偏見か。

 

 中国という国をどうしていくのか考える役割の人たちが、皆そろってまず習近平の顔色をうかがっているのだとしたら、そのことこそが中国のこれからに影を落とすことになりはしないか。中国がどうなろうと関係ない、というわけにはいかないのが今の世界で、ただ遠くから見ている。

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コメント

こんにちは
もうこうなってしまうと国も終わりなんですよねえ・・・・。
一人の独裁者に権力全てが集中するのは滅亡の前兆ですから・・・。
中国のような悠久の文明を誇る面白い国がそうなるのは甚だ残念です。
では、
shinzei拝

shinzei様
なかなか簡単には終わりにはならないと思いますが、混乱が起きるかもしれませんね。
中国だけの混乱ですめば良いですが、中国に頼っているアジアやアフリカ、中南米の国々の混乱が先行して、しかも増幅されて混乱することになるのではないかと思います。
債務の罠、といいますが、そもそも支払えない債務を積み上げても中国の資産にはなりません。
そういう弱小国が経済破綻をすれば、契約など反古になってしまうでしょう。

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