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2024年3月 3日 (日)

『夢応の鯉魚』

 『雨月物語』の中の『夢応の鯉魚』を読む。夢応とは人名ではなく、夢の中で感応する、という意味である。昔、三井寺(正式名は園城寺・大津にある)に興義という僧がいて、絵が巧みだった。慈悲心も深く、琵琶湖で漁師の網に魚がかかると銭を渡して放してやり、その魚の絵を精妙に描いたりしていた。時には夢に魚になって泳いだりして、そのときの様子を絵に描いたりした。

 

 あるとき病にかかり、七日後に息絶えた。しかし胸のあたりがかすかに温かいままなので、葬らずに様子を見ていたら、三日後に突然息を吹き返して、突然徒弟たちにあることを命じ、そのあと自分が体験した不思議な物語をする、という話である。

 

 この話にそっくりなものを以前中国の伝記集で読んだ記憶があり、調べたら、『唐宋伝奇集』に収められていたのを読んだことがわかった。元々は『続玄怪録』という本に収められていたものらしい。こちらの主人公は薛偉といい、画家ではないが、同様の体験をする。この話を底本として上田秋成が『夢応の鯉魚』という話に仕立て上げたようだ。

 

 ところで『夢応の鯉魚』の話の最後に、興義の弟子の成光の逸話が記されている。この話の原点は注釈にあるとおり、『古今著聞集』に収められている。とても短いので引用する。

 

 成光、閑院の障子に鶏をかきたりけるを、実の鶏見て蹴けるとなん。この成光は、三井寺の僧興義が弟子になん侍りける。

 

 『平家物語』でちょうど以仁王や源三位頼政たちが三井寺に逃げ込んで加勢を求めたところを読んだばかりなので、感慨が深い。まだいったことがないので、一度三井寺を訪ねてみようと思った。

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