認識が甘かった
若いころ、端数切りの支払いというのを度々聞いたことがある。少額なのに、支払額の支払いの百円以下、千円以下の端数を切り捨てて手形や小切手を作って支払うという得意先があるというのだ。切りをよくしておいた、と平然というのだという。さすがに我々はメーカーだったし、ちゃんとした商社が関与しているから自分がそんな支払いを受けた経験はないが、自分がそんなことをされたら義憤に駆られて何を言うかわからないなあと思ったものだ。
日産自動車は契約した下請けとの価格を支払時にさらに値引きして支払っていたという。下請けはやむなくそれを飲まされていたが、それが発覚したのは、あまりの仕打ちに耐えかねた会社がたくさんあったからだろう。自動車会社の価格交渉は極めて厳しい。利益がかろうじて出るか、時には仕事の継続のために利益がないような価格を下請けは飲まされている。その上支払時にさらに値引きされたら、営業は自分の会社に申し訳なくて煮え湯を飲まされている思いだったろう。
日産自動車は「コンプライアンスに対する認識が甘かった」と謝罪していた。何を言っているのか意味が理解できない。これのどこが謝罪なのかわからない。して良いことか、してはならないことか、よくわからなかった、というのが謝罪になるのか。しては良くないということを知らなかったと言いたいのか。知らないはずのない、してはならないことをしたのなら確信犯である。しばしば「知らなかった」と言い逃れする犯罪者がいるが、おんなじである。契約をしたのにその契約を踏みにじって平然としているのは鬼である。日産自動車は鬼を飼っている会社か。
端数切りには最初から切られることを想定した対策というのがあるとも聞いた。結局、もうけたつもりでたいしたこともなかったり、却って高いものを買わされるのがそういう愚かな会社の常だったそうだが、そういうゆとりのない関係の中でやられたら恨みを買うのが当然で、もしかしたら類似の話が横行しているということはないだろうか。理不尽にはきちんと対処しないと、賃金だって大会社しか上がらない。時代が変わったことに気がついていない日産自動車は、見せしめとして厳しい断罪にあうべきだと思う。
« 一生懸命やったのにぃ | トップページ | ムダ »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 細部がきれいに(2025.02.05)
- たくさん歩いたのに(2025.02.04)
- 今日は奈良へ行く(2025.02.02)
- 二日酔い(2025.02.01)
- わかっていたらやっていられない(2025.01.31)
« 一生懸命やったのにぃ | トップページ | ムダ »
コメント