『黄河の水』
鳥山喜一『中国小史 黄河の水』を読み終えた。この本は少年少女向けに戦前に書かれた本で、戦後まもなくの昭和26年に一部書き換えてあらためて発刊された本である。いまは角川文庫に収められている。そういう本だからとても読みやすいけれど、中身は濃い。まだ若いころに上司に中国の歴史に詳しい人がいて、その人とよく中国について話をした。その人に入門書として薦められた本なのだ。その人は中国王朝と皇帝の名前をほとんどそらんじてみせるほどの中国通で、それなのに中国にはついに行かなかった。現代中国のあり方になじめないと感じていたようだ。中国好きだからこその気持ちからであって、私にはよくわかる。
この『黄河の水』は中国の歴史に詳しくなると、新しい知識をここから得るというほどのことはあまりないけれど、通史というのは歴史の流れをもう一度見直すときにとても参考になる。戦前戦後の時期の文章の書き方、名前の読み方は、私の知るものとは大分異なったりしているけれど、それも面白いと思った。時には初歩に帰るのも好い。
そう思ったら、つい中国学の泰斗である宮崎市定の本(『遊心譜』)などを引っ張り出して拾い読みを始めてしまった。やめられなくなりそうだ。
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