『エリートと教養』
村上陽一郎『エリートと教養』(中公新書ラクレ)という本を読了した。副題が、『ポストコロナの日本考』となっていて、そちらに惹かれて読み始めたものである。東大の名誉教授で科学哲学者の村上陽一郎の本は、若いときから科学について考えるときに、折にふれお世話になった。著作も多い。
この本の内容をまとめて簡単に紹介するのは難しい。後書きにもあるが、第一章『政治と教養』は『中央公論』に載せたものだが、その他はWEB上の雑誌に個別に掲載したものであり、もともと関連性を考慮していなかったものを、ほとんど一から書き直すようにして一冊の本にしたもので、村上陽一郎が様々なテーマに沿って、その知識を傾けて論じたものである。その知識というのがそもそも半端ではないので、話は広がりに広がり、著者の手の上でただ転がされている心地がする。こういう人が見ている世界というのは私などとはレベルが違うのを思い知らされるが、それを楽しむつもりで読ませてもらった。
ただし、本当に読めたのはうわべだけだったような気がしている。自分の不勉強が今回も身にしみている。論じられているのは、政治、コロナ禍、エリート、日本語、音楽、生命など。著者は自分の膨大な知識空間を自在に行き来しながら軽やかに論じて、楽しそうである。
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