付和雷同が嫌いなので
トランプに対して熱狂的に支持している人たちを見ると、どうしてそんなに彼を信頼できるのかが分からない。毛沢東に心酔して、文化大革命で紅衛兵や大衆がどうしてあれほど膨大な数に膨れ上がり、たくさんの人を殺したり、文化遺産を破壊したのか分からない。ドイツ国民がヒトラーの率いるナチスをどうしてあれほど熱狂的に支持したのか分からない。私は付和雷同が嫌いなので、そういう熱狂に走るということ自体が分からない、と思っているが、実際に渦中にあったら本当に冷静でいられるのかどうかは自信がない。さいわいなことにその中に巻き込まれたことがないので分からないのだ。
どうして歴史を知ろうとするのか。きっかけは、何度も書いてきたが、日本はどうしてあんな愚かな戦争を、いま歴史を振り返れば勝てるはずのない戦争を始めて、当然のように自滅してしまったのかが知りたかった。文化大革命について経緯を知ろうとするのも同じような理由である。
日露戦争のあと、勝ったのだからロシアからどうして賠償金が獲れないのか、それに激高して大衆が大挙して暴動を起こし、あちこちで焼き打ちが起きた。誰かが先導してそれに付和雷同しての騒ぎだった。それをマスコミは農民一揆の再来のように賛美した。しかし、農民一揆の多くは姓名を明らかにしてその責任を引き受ける指導者がいて、かなり管理されたものだった。そういう意味で、日露戦争のあとの焼き打ちは全くの暴動だった。それが結果的に軍部の暴走のエネルギーとして備給され、中国への侵略や太平洋戦争に繋がったのだと思う。そのことは司馬遼太郎も書いていた。
不思議なのは、誰か、ヒトラーのような、独裁的な指導者がいて日本を亡国に導いたということではないということだ。だからあたかも責任者が存在しないかのようであり、日本国民全体が責任者であるともいえるし、扇動に加担したマスコミに大きな責任があるともいえる。軍部だけが悪だったというのは、そのようなことにしないと戦後の処理を収めようがなかったからではないかと思う。だから、国民は自分に責任がないと思い、マスコミは戦時中のことは口を拭って、手のひらを返して正義の味方を標榜している。
責任の自覚のないところには同じことが起きる恐れが存在する。その時、また付和雷同的に行動する怒濤のような大衆に巻き込まれて一緒になって熱狂したくない。だから歴史の本を繰り返し読む。
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あらゆる政治的判断において責任者が不明確であるという「無責任の体系」論は
丸山眞男によって広く知られるところになりましたが、所詮は後付けの言説ではないでしょうか?
当時の軍部がそれを自覚していたとも思えず、
ましてや組織が「無責任の体系」に組み込まれていることなんて思わなかったでしょう。
ヒトラーのような指導者がいないのに日本を亡国に導いたということについては
当時の新聞・ラジオ報道などのマスコミがその役割を代行したと思います。
(昭和天皇が檄を飛ばしたんでしょうか)。
そこでは個の存在が消えてしまうので追及のしようがありませんね。
投稿: ss4910 | 2024年4月25日 (木) 09時29分
ss4910様
どんなことにも責任というものは存在します。
誰にも責任のない不可抗力による出来事というものはめったにありません。
無責任というのはss4910様が言うとおり、責任者に責任の自覚がないことにあります。
だから許されるということはないでしょう。
問題は責任者の責任の自覚の有無にあります。
原発事故でもそうでしょう。
無責任の体系などというものはたしかに後付けで、一つの見立てに過ぎませんね。
責任を自覚しにくいのは人の常ですが、リーダーが責任を自覚できないのは大きな問題です。
投稿: OKCHAN | 2024年4月25日 (木) 09時49分
誤解のないように失礼ながらもう一信(長文です)。
私は責任の所在を否定しているわけではありません。
先の大戦におけるノモンハンやガダルカナルの辻政信、
インパール作戦を強行した牟田口廉也の結果責任は当然問われるべきと思います。
しかし、それらは不可抗力とは無縁でした(実際、彼らが起案し、指揮したのですから)。
不可抗力を骨抜きにしたのは山本七平のいう時代の「空気」の存在でしょうね。
そこを問い詰めないと責任論は有耶無耶になります。
(朝日などの戦争を煽ったマスコミの責任は無罪放免ですか?)。
関連して最近よく言われる「説明責任」もよくわかりません。
説明して世間も与野党も了解し、ハイ終わりとは。
あと「原発事故」という表現ですが
福島原発は事故を起こしたわけではなく、津波被災によって電源喪失をしたんですね。
原発自体は事故を起こしていないんですが
そういう左派のプロパガンダの拡がりにはある種の危機感を感じます。
投稿: ss4910 | 2024年4月27日 (土) 14時12分
ss4910様
主張なさりたいことについてほぼ同意見です。
ですから、「朝日などの、戦争を煽ったマスコミは無罪放免ですか?」という質問の主旨がよく分かりません。
私に質問しているのであれば、私は繰り返しマスコミに大いに責任があると申し上げているつもりであって、そういう質問をされるということにいささか残念な思いを感じます。
なかなか言いたいことと言うのは伝わらないものですね。
原発事故についても私は原発は地震では壊れていなかったことをそっちのけにして危険性だけをいうのは間違っていると思います。
だから、地震があり、津波があることを想定した電源対策が必要だ(技術者が歴史的に津波が起こりえるとして対策を提言したという事実があります)、ということに対してそれを握りつぶした幹部の責任を、地震が起きることを予見できたかどうかにすり替えた司法にも疑問を感じます。
せいぜい数億数十億円を惜しんで何十兆円を失い、多くの国民に被害を与えた責任がないなどということがあるはずがないではないですか。
投稿: OKCHAN | 2024年4月27日 (土) 15時15分
ss4910様
「誤解のないように・・・、私は責任の否定しているわけではありません。」
と書かれていますが、貴コメントを読んで、ss4910様が責任を否定している、などと毛頭思っておりません。
まず話の前提として、物事には責任というものが生ずる、出来事には責任が存在するものだ、ということをもうしあげたのですが、それが貴コメントについての否定に読めたのでしょうか。
そういうつもりはありません。
投稿: OKCHAN | 2024年4月27日 (土) 15時30分
マスコミが負うべき(過去も現在も)責任主体への言及についてはよく理解しています。
私の早飲み込みと言葉足らずのせいで
OKCHAN様にいささか混乱をお与えしたようですね。
申し訳ありません。
責任(responsibility)についてはもう少し考えたいと思います。
このやりとりはここまでにしましょう。
ありがとうございました。
投稿: | 2024年4月27日 (土) 19時58分
失礼。
前便の投稿者は私(ss4910)です。
投稿: ss4910 | 2024年4月27日 (土) 20時00分