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2024年5月 3日 (金)

与えられた自己像

 フロムの『悪について』からもう一つだけ引用する。あちこちに付箋をつけたけれど、切りがないのでこれを最後にする。この部分はナチズムやアメリカ南部の人種差別を想定して語っているのだけれど、現代のある国の状況のことを語っているように読めてしまう。

 

 これまで論究していない集団ナルチシズムの社会的機能がもう一つある。その構成要因の多くに満足を与えないような社会は、成因に存在する不満を除去するために、悪性型のナルチスティックな満足感を彼らに与えなければならない。経済的・文化的に貧困な人々にとっては、その集団に帰属するために生まれるナルチスティックな誇りこそが、唯一の・・・そしてそれは非常に効果的なことが多い・・・満足感なのである。人生が面白くなくまた興味を持ちうる期待がないからこそ、彼らには強いナルチシズムが発達してくるのである。最近におけるこの現象のよき例は、ヒットラーのドイツに見られたし、現在のアメリカ南部に見られる人種問題のナルチシズムにもそれが見られる。両者とも人種的優越感の核は中産下層階級であったし、現代でもそのことは同じである。この後進階級は・・・アメリカ南部でもドイツでも、経済的にも文化的にも被搾取階級であるが・・・その状況を変化しうるような現実的希望は全くないために(彼らは社会の老化形態、退化形態の遺物であるために)唯一の満足しかもちえないのである。即ち我々は世界で最優秀の種族であり、列島種族と考えられるほかの種族よりは優秀であるという慢心から生まれた自己像である。こういう後進集団の成因はつぎのように感じている。「私は貧乏で教養はなくとも、世界で一番立派な集団に属しているから重要な存在である。つまり私は白人なのだ」とか「私は(ユダヤ人ではなく)アーリア人だ」と。

 

 某トランプを歓呼して迎える人々が私には見えてしまうのだけれど・・・。または韓国や北朝鮮か。いやいや、これは他人事ではなくて、日本だって似たような例をいくらでも見ることが出来るだろう。

 

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