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2024年6月20日 (木)

六つの太陽

 若いとき、アシモフやガモフの科学啓蒙書をよく読んだ。当時はそういうものが結構読まれていたと思うが、今の若い人はそういう科学啓蒙書を読んでいるのだろうか。あれはただの流行り物だったのか、それとも必要なことで、その必要なことが今は失われているというのなら、残念なことだと思う。

 

 ロボット三原則を確立したアシモフの、『夜来たる』という中編SFを読んだ。アシモフのごく初期の頃に書かれた傑作である。六つの太陽を持つ惑星に、二千数百年ぶりに夜が訪れる。この星ではその夜が訪れるごとに文明の崩壊に近い事態となり、その夜の記憶が正確に記録されていない。そのために夜が恐れられている。その星の住人たちは夜空の星というものを見たことがない。伝承に残されている夜空の星というものを信じることが出来ないのだが・・・。その世界に夜が迫る。

 

 エマーソンの詩の一節

 もし星が千年に一度、一夜のみ輝くとするならば、人々はいかにして神を信じ、崇拝し、幾世代にもわたって神の都の記憶を保ち続ければよいのだろうか。

をもとに発想されたこの小説を味わえるかどうかは、夜のない異星の世界というものを、どこまで自分の世界として考えることが出来るか、ということにかかっている。同時に、その星の人間として、地球の世界というものをどこまで異質な世界としてみることが出来るのか、ということでもある。当たり前を、当たり前ではない世界から眺め直すという意味で、この小説は優れた発想を持っている。

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