藪の中に
山間部を車で走っていた。林のあいだから、左手だけ開けた場所に出た。その藪の中、少し奥の方に黒いものがうごめいているのが見えた。向こうを向いているが、熊のようだ。背筋がザワッとする。急いでそこを通り過ぎて再び林の中を進み、また開けたところに出た。茶色い塊が見えた。まさか、と思ったらやはり熊で、座り込んでこちらを見ている。さっきのよりも大きい。向こうが動き出す前になるべく進もうとスピードを上げる。バックミラーを見たが追いかけてきてはいないようだ。ほっとして前を見たら、道の真ん中にさらに大きな、ヒグマほどの黒い熊がいて・・・。
そこで目が覚めた。
熊や、イノシシや、猿や鹿までが一斉に人家周辺に出没するようになったように思える。彼らの領分に進出しすぎていた人間が、過疎化によって後退し、再び彼らが自らの領分であると主張しているのだろうか。彼らは何かの意志によって連動しているのだろうか。
先日の『新・プロジェクトX』はスーパーコンピューター開発ストーリーだった。資源がないが故に技術立国として生きていくしかない日本が、リストラの中でどんどん開発部門を縮小していった末に惨めな後退を余儀なくされていく中で、世界最速コンピューター開発で気を吐いたストーリーで、溜飲の下がる話である。まさにあの蓮舫女史が「一位でなければならないんですか、二位ではだめなんですか」と自らの無知と愚かさを世に知らしめた迷言を吐いたのはこのスーパーコンピュータの開発に関してのことだった。
どうして無知で愚かなのか、日本という国が、技術立国として生きていくしかない国であるという、そのことが理解できていないこと、そして予算削減の優先順位について、最もしてはならないのに安易なところから手をつけるという点においてである。つまり、金の卵を産むニワトリが餌を食べるのがムダだから餌を減らしましょう、といったのだ。そういう人が東京都のムダを削減すると言うときに何に手をつけるつもりなのか、たぶん同じようなことを始めることだろう。
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