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2024年6月29日 (土)

紀行文(7)

 桑原隲蔵(くわばらじつぞう)の『考史遊記』(岩波文庫)は私の愛読書で、すでに三回読んだし、また読み直したいと思っている。桑原隲蔵は、内藤湖南などと並んで東洋史学の創始者の一人で、桑原武夫の父君である。彼が明治40年から二年間にわたって中国各地の史蹟を探訪して歩いた旅の記録がこの『考史遊記』で、長髪族の乱(太平天国の乱)の混乱と破壊の痕跡がまだ生々しい時期でもあり、その旅は困難を極める。史蹟はほとんど埋もれるようにして残るばかりである。今はそれがずいぶん修復もされて見違えるようになってはいるが、この旅で著者が見たものはまるで違う世界である。

99120082北京にて

 この本には桑原隲蔵自身が撮った写真がたくさん収められているので、それを眺めるだけでも興味深いが、ただあまりクリアでない写真も多いので、思い入れがないと面白くないかもしれない。とにかく博覧強記ともいえる著者の、史蹟からさまざまなことを読み取る能力は常人のおよそ及ぶところがないほどで、それは時代と空間を超越している。

 

 中国史に興味のある人はぜひこの本にチャレンジしてほしいものだ。お勧めの紀行文である。

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コメント

こんにちは
つくづく中国を見ると「惜しいものを沢山なくしましたねえ」と思わざるを得ません。日本とは違い中国では混乱状態と平穏な状態を繰り返しながら4000年の歴史が経過しましたが、その混乱期に惜しいものが相当失われました。そういえば二子玉川に旧三菱財閥が中国の蔵書家が所有してた本(古くは北宋時代のものもあるそうです)を引き取って保存してある施設がありますが、恐らくそれの何十倍のものが失われたのでしょう。ここでは本のお話でしたが、芸術品から日用品に到るまで消えて無くなったものが多いのだと思います。それを考えると「もったいないなあ」と嘆息してしまいます。
では、
shinzei拝

shinzei様
三十年くらい前から度々中国の地方を旅して歩きましたが、文化大革命の破壊の跡をたくさん見ました。
今は修復されて見違えるようになっているでしょう。
ただ、元のように修復するのではなく、華美に飾り立てたものが多いように思います。
それにどんな意味があるのか、首をかしげますが、それが中国という国なのでしょう。

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