『岳飛伝』読了
北方謙三『岳飛伝』(集英社)全十七巻を読了した。この数日は一日二冊のペースで読んでいて、頭の中は岳飛軍、梁山泊軍、南宋軍、金軍の立てる戦の土煙や雄叫びが渦巻き、血臭が漂う日々であった。
『水滸伝』全十九巻、『楊令伝』全十五巻と合わせて全五十一巻の、宋という時代の壮大な戦乱絵巻が一段落した。宋は遼や金に追われて一度滅びてしまい、南宋という国として再建されたが、もとの宋の北半分を金に奪われて弱体化してしまった。その宋を再興するために『尽忠報国』の旗印を挙げ、抗金のために戦い続けたのが岳飛である。
しかし南宋の宰相秦檜は、国家の延命のために金と結んで岳飛を粛正してしまう。中国では、日本での源義経以上に岳飛は悲劇の英雄として誰もが知る人物だ。そして義経が平泉で討たれて死んだのを、じつは生き延びて大陸に渡ったという伝説が残されたように、この『岳飛伝』ではじつは殺されずに生き延び、戦い続けたという物語になっている。この物語では藤原秀衡も登場するし、たぶん平清盛ではないかと思われるような人物も登場する。
南宋の都とされた臨安は、今の杭州であり、あの西湖のある美しい古都である。古都であるけれどじつは最先端の大都市でもある。私は杭州が大好きで、仕事も含めて五回ほど訪ねている。思い入れのある街だ。西湖のほとりには岳飛廟があり、そこには秦檜夫婦が縄を打たれてうずくまっている像がある。中国人の秦檜を憎むことはすさまじいものがあるのだ。
金はその後、北方からの蒙古軍に押されて弱体化していく。この物語にもそのきざしが描かれている。このあと北方謙三はジンギスカンの物語を新たに書き綴っているが、この岳飛伝の時代と連続しているのである。今はいささか疲れたので、その物語をさらに読もうという気がしていない。南宋はやがて蒙古に飲み込まれ、蒙古は元と名を変えてヨーロッパの東にまでまたがる巨大な帝国を築き上げる。
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鬼気迫る読み方をしたね。ワクワクしてくる。
お会いするのが楽しみです。岳飛で燃えるゾー。
投稿: 周さん | 2024年6月17日 (月) 16時48分
周大兄様
久しぶりの一気読みでした。
それだけ物語が面白いということです。
月末に用事が出来たので、その前に行くかもしれません。
また電話で連絡させていただきます。
投稿: OKCHAN | 2024年6月17日 (月) 17時29分