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2024年6月18日 (火)

『いのちの姿』

 宮本輝のエッセイ集『いのちの姿』(集英社)を読んだ。宮本輝はエッセイにも人一倍精魂傾けるので、このエッセイ集も読みやすいけれど、中身はぎっしり詰まって濃厚だ。プロの作家というのがどれほど厳しいものなのか、それを強烈に感じさせてくれる。順風満帆な人間には本当の人生を知ることが出来ない。ましてや他人の人生を感じることなど出来ないし、それを語る言葉も生み出せない。苦難を経た後でそれを乗り越えよみがえって初めて見える世界があり、感じる世界があるということだ。人の痛みを知る人間になるためには、人は成長しなければならないし、変わらなければならない。

 

 このエッセイ集の中に富山県の北日本新聞から懇望されて新聞連載小説を書くに至った経緯と、その取材旅行の様子が『田園の光』という一篇で語られている。黒部川の扇状地でインスパイアされた宮本輝が書いたのが『田園発 港行き自転車』という小説だ。私もその小説の舞台を見るためにその周辺を訪ね歩き、宇奈月温泉や愛本橋などを見た。この文章でそれらが鮮やかに脳裏に思い浮かんだ。

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コメント

私も、宮本輝のエッセイはよく読みますね。短くとも味わいのある文が好きです。

おキヨ様
宮本輝の書いたものはたくさんありますが、半分以上は読みました。
好きな作家です。
一時期エッセイを書かない時期がありましたが、この『いのちの姿』は久しぶりにエッセイを再開してからのものです。

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