『すずめの戸締まり』
新海誠のアニメ映画『すずめの戸締まり』(2022年)を見た。廃墟に存在する災いの出口を閉じていくというストーリーに少女の成長物語を重ねたロードムービーである。主人公の少女・岩戸鈴芽はしばしば自分が幼児だったときの夢を見る。その夢の意味が最後にわかるという仕掛けになっていて、だからある意味のループであり、少女がさまざまな苦難をのりこえ、成長してそのループから脱出するというのがテーマということになる。
物語としてはたいへん面白いし、映像的にも素晴らしいと思う。予定調和的で、見る人にたぶんこういう事情であろう、そうしてたぶん最後はこうなるだろうと想像させてくれる。そのように物語は用意されている。そのことがドラマチックで意想外の世界なのに、なんとなく新海誠は大衆迎合的になったという辛口の批評も生んでいるらしい。意外性が意外ではないという批判だ。私は彼の作品を比較できるほど見ていないのでよくわからないが、一度その前の作品と見比べてみたいと思う。
声優として深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、神木隆之介、松本白鸚などが参加している。見ていて、この声は聴いたことがあるが誰だろう、と思うのも楽しい。
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