『シス 不死身の男』
『シス 不死身の男』は、2023年のフィンランド映画、ロシアに侵略され、ナチスに国土を焼き尽くされた第二次世界大戦末期のフィンランドが舞台である。軍の統率を無視してはぐれ狼のようになり、一人でロシア兵を300人以上殺戮して畏れられた男が、戦いを離れて荒野で金探しをしている。奇跡だろうか、彼は金(きん)を掘り当てる。その金を持って換金のために馬で街へ向かうのだが、そこで一群のナチスの部隊に遭遇してしまう。
彼が金を持っていることを知られ、そこからその男とナチスとの孤独な戦いが始まる。彼は死なない。死ぬような目に遭っても死なないのは、彼が死を拒否するからだ。その生命力は驚異的で、あの『十三日の金曜日』のジェイソンのようである。そんなのを相手にしてはいけない、と軍の上層部が連絡してくるのは当然なのだ。
血があふれ、手や足がバラバラになって飛び散る。そういう凄惨なシーンが続く。スプラッターホラーを超えるが、これはホラーではないからもっと残酷である。そういうのが苦手な人は見ない方が好い。
ある意味でフィンランドの英雄談のようなものだが、この男コルピは、映画でも物語でも一人であるが、じつは一人ではなく、フィンランドの多くの男たちの物語そのものなのだろう。不死である吸血鬼や狼男など、それらも同じ背景を持つ夢の集合体なのではないか。ナチスというゴジラを倒す不死の男の物語は見応えがあった。
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