知的レベルが低い
小泉進次郎氏の総裁選出馬の会見で、ある記者から「あなたは知的レベルが低い。それなのに首相を務めることができると思うのかどうか」という質問があったそうで、それが物議を醸している。およそたくさんの人がいる前で、当人に知的レベルが低い、と言ってのけるのは非常識で失礼極まりないから、いろいろ批判があるようだ。非常識であるかどうかといえば、ほとんどの人が「非常識で失礼だ」と考えるだろうが、記者という人たちの多くは、非常識とか失礼とかいう感性を押さえ込まないと成り立たない商売らしいことは、私が長い経験で知らされ続けてきたことで、その是非についてはさまざまに論じられているようなのでそちらに任せる。
問題は、「知的レベルが低いのに」首相が務まると思うかどうか、という質問の中にある罠である。首相が務まるかどうかの質問に、すでに知的レベルが低いことが前提されているのである。務まると答えるしかないのに、そう答えた時点で知的レベルが低いと認めさせる力がある。問題は、知的レベルが低いという事実が、正しいかどうかという次元を超えている。これは事実か否かということが問われるべきで、事実であるなら根拠、その判断基準を示さなければならない。どういう基準の下に知的レベルが低い、と決めつけるのか、それを示さなければならないはずだが、あまりそれが問題視されていないこと、そのことに危惧を覚える。
そもそも印象や感想は人それぞれで、論争になじまない。印象操作と事実か否か、という問題がごちゃ混ぜにされて、どういう基準でそういうことを言うのかという本質を問われないまま騒ぎになっていることに、相変わらずだなあと思って見ている。
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