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2024年9月29日 (日)

夫婦別姓

 詳しく知っているわけではないが、選択的夫婦別姓が取り沙汰されているようなので、ちょっとだけ愚考した。日本では結婚すると夫婦どちらかの姓に統一する決まりになっているけれど、それを別々でも善いではないか、という論議であると理解している。

 

 どちらかの姓にするといっても、多くは女性が姓を変えることになることが多い。働く女性、それなりの立場に立つ女性が多くなった現在、名前が変わることによる不都合も増えているという背景があるのだろう。これを女性差別のひとつと論じるものもあるようだ。これを便宜的に旧姓を名乗ることを公的に認めるという方便もあるという提案もあるようだ。現実にそうしている女性も少なからずいる。しかしそういう弥縫的な対応ではなく、夫婦同姓という制度そのものをなくしてしまえという主張もある。世界には夫婦別姓の国はたくさんあって、別姓での不都合はないという。すべて別姓としろという主張である。

 

 夫婦別姓の国はたしかに少なからずある。それらの国は昨日今日夫婦別姓になったわけではなく、大昔から別姓であって、それがもともと普通であるから別姓による不都合などは生じないのは当然である。日本は昔から夫婦同姓である。それをすべて直ちに別性にせよというのは乱暴である。文化が違うので、同列に論じては混乱する。もしその方向を目指すなら、段階を踏むべきだろう。

 

 だから、今回の選択的夫婦別姓論議は、夫婦別姓を選ぶこともできるようにしよう、という論議である。それを認めた時にどのような不都合が生ずるのか、それに対処するにはどういう手立てがあるのか、それをクリアすれば良い。夫婦別姓を希望する人は夫婦別姓にすれば好いではないか、と私などはいい加減である。そのことによって生ずる子供の姓の問題など、夫婦で決めれば善い。子供が大人になる時に択び直せるようにしておくことも必要かもしれない。別姓にすることによる社会的な煩雑さくらい、なんとか対処できるだろう。それより別姓を択んだ夫婦がいろいろ煩雑なことを引き受ける覚悟が必要だが、それがあるからその道を選ぶのだろう。

 

 選択の自由、ということであれば私は好いではないのか、という消極的賛成派である。私がこれから結婚するなら別姓にはしないという道を選ぶが。

 

 夫婦別姓を認めると家族が崩壊してしまう、などという心配をするお年寄りがいるらしいが、家族と言うより、姓が「家」というものと密着しているものだという考えからくるものだろうと思う。そもそも「家」などとっくにほとんど崩壊して存在しないのである。時代錯誤的な反対だろう。家族はすでに個人に分解しつつある。いまの日本の夫婦別姓論議とは、ちょっと斜めに見れば、同棲と結婚の境目をなくそうということに見えないこともない。結婚とは何かが問われ直そうとしているのかもしれない。

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