裸の王様
裸の王様の実物を見たかったら、北朝鮮の金正恩を見れば良い。そういえばなるほどと思う人も多いのではないか。
ところで『裸の王様』の王様には、豪華な衣装といわれるものが見えない。しかし見えないのは自分だけかもしれないと思っている。大人たちは、みなが褒めそやすその豪華な衣装が自分には見えないが、自分だけが見えないのかもしれないと思って、見えているようなふりをする。子供はそういう複雑な自意識がないから、素直に見えないものを見えないということができる。
ところで金正恩は自分が裸だという意識があるのだろうか。本気で豪華な衣装をまとっていると信じているのかいないのか。王様は豪華な衣装を着ておられます、と持ち上げる周りの面々のことばを信じて見せないと、身の危険があるのはまちがいがない。自分が裸だ、などというのはもってのほかだし、思ってもいけない。ありもしない豪華な衣装を疑えば、すぐに別の裸の王様にすげ替えられるだろう。
北朝鮮人民はそんな豪華な衣装などありもしないことをわかっているから、狂気のように豪華な衣装を褒めそやし、力一杯拍手し、感涙にむせんで見せなければならない。そうでないと殺されてしまう。熱狂的度合いが激しいほど裸であることの証明になっている。では子供はどうか。子供は正直にあるがまま見てしまうことはわかっているから、とことん幼少期から見えないものを見えると思い込ませるための教育を施しているであろう。かくして『王様は裸だ』という子供は北朝鮮には存在しない。何しろ彼らには豪華な衣装が見えているのである。いまに北朝鮮の全国民に見え出すだろう。
人間にはありもしないものが見えてしまうという特殊能力がある。
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