虐待児は虐待する
親から虐待を受けて育った子供は、子供を持つとその子供を虐待してしまうという。必ずそうなるということではないだろうが、そういう傾向があるらしい。哀しいことだが、ありそうなことにも思う。
イスラエルの中のパレスチナ人の暮らす地域には、いま多くの人(四万一千人を超えた)が殺されたガザ地区と、ヨルダン川西岸地区との二つがある。そのヨルダン川西岸地区ではパレスチナ人の農地などにイスラエルから入植者と称する者たちがやってきて、パレスチナ人の住まいを重機で破壊し、土地を奪い、住人を追い出している。抵抗すれば銃で脅し、ときには実際に発砲して殺傷する。入植者保護のためとしてそばにいるイスラエル兵は見ていても何もしない。これは国際法違反の暴挙であると国連で認められているが、それに対しての制裁はアメリカの拒否権行使によって成立しない。
それをNHKがレポートしていた。アメリカという新天地に西部開拓と称してインディアンの住む土地に入植し、抵抗すればインディアンを殺し、それを騎兵隊が守って入植地を拡大し、いまのアメリカができた。まさにそれをなぞっている。それがアメリカの正義であり、イスラエルの正義だ。
ナチスはユダヤ人の生活を脅かし、ユダヤ人の財産を奪い、ドイツ人はユダヤ人を暴行し、抵抗すれば拘束した。ユダヤ人とわかると壁に大きな落書きがされ、標的にされた。チャップリンの『独裁者』という映画を思い出す。ヨルダン川西岸地区ではまさにパレスチナ人の住居の壁にペンキで落書きされ、入所者たちに集団で暴行され、家を破壊され、追い出され、入植地は拡大し、イスラエルだけではなく、世界中からユダヤ人が入植者として押し寄せている。彼らにマイクを向けると、我々の祖父母はアウシュビッツなどに送られて殺されたのだ、と異口同音に語る。だから自分たちの行動は正当であると語る。
昨年の10月7日にハマスがガザ地区から越境して襲撃を行い、人質を奪ったことで、報復のためにガザ地区では無差別としか思えない爆撃が続けられ、ガザ地区はがれきの山と化した。その10月7日を境目にして、ヨルダン川西岸の入植者たちの行動はエスカレートしたという。彼らの国際法違反の行動は正当化されたかのようである。
専門家によれば、ネタニヤフは易々とハマスの越境攻撃を許し、人質を取られるという失態を問われないためにガザへの爆撃を続けるしかないのだという。そのガザへの攻撃による死者の数を見て、国際世論がイスラエルへの批判が高まった。それではまずいと思っていまはその攻撃も控えめになっているが、戦争が終わると退陣要求と一連の行動の責任が問われるのが必至なので、今度はレバノンへの攻撃を激化させている。勘ぐれば、そもそももっとも問題視されているヨルダン川西岸の暴挙隠蔽が真の目的なのではないのか。ガザもヨルダン川西岸もイスラエルのものだ、とイスラエル右派は主張する。すべてのパレスチナ人を追い出すか殺し尽くすつもりのようであった。
これがインディアンを殺したアメリカ西部開拓や、ユダヤ人に対するナチスの行動をなぞっているように見えるのは妄想か。祖父母が殺されたことが暴挙の免罪になるというのはなんたる論理か。
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