陳舜臣の本
初期の頃は推理小説作家として作品に出会った陳舜臣だが、その後中国を舞台にした歴史小説が主になり、エッセイや中国史なども含めて片端から読んだ。本棚にも彼の本がたくさん並んでいるし、文庫本の小説類は押し入れに山積みになっている。長編はもう読み直す気にならないが、なんとなく中国が懐かしくなって、紀行文やエッセイなどから何冊か拾い出して再読している。
いま読んでいるのは『中国歴史の旅』上下巻、そして大判の『敦煌の旅』という本で、思えばこれらの本を手がかりにイメージを膨らませ、何度も中国に足を運んだものだ。エッセイも何冊か寝床の枕元などに積み上げて、寝る前に拾い読みしている。これらの本を読んで中国を訪ねたころは、中国の旅も飛行機代は別にして宿も食事も安かったし、気楽で自由に見て回ることができた。中国人にはまだゆとりがなかったから、観光地にいるのも九割は外国人だった。いまなら人がひしめいて、しかもほとんどが中国人だろう。
たぶんまた行くことのない中国を懐かしみながら本の旅を楽しんでいる。
初めて中国に行ったときに訪ねたのは西安と北京。写真は西安の城門をバスの車窓から撮ったもの。日付は'92 9 25となっているから、天安門事件から三年後のことだ。西安は城壁が残っている数少ない街だ。そしてここからシルクロードが始まる街、そして終点の街だ。西安は大好きな街で、何度も訪ねている。もちろん城門といっても、ここは道路を通すために、もともとの城壁に穴を空けたものだ。正式の門は別にある。
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