ノーベル賞と財閥
スーパーに買い出しに行く間隔は昔と変わらないはずなので、その都度の支払額がどんどん大きくなっているのは物価上昇を反映していることになる。私のその支払いから見て、その上昇率は世の中でいわれているよりもかなり高い。歳とともに食べる量は減っているし、間食も極力しないようにしているし、飲酒量も減っているのに、どうしてこんなに出費が増えているのだろう。酒代を減らし、本代が減っているから全体がなんとかおさまっているというところか。とはいえ、生きてもあと十数年と思っているので、使い切るつもりならなんとかなる。世の中や政治を恨むほどのことはない。いや、今回はこんな話を書こうと思ったわけではない。
韓国は日本に迫る勢いで技術も経済も伸びているのに、どうして科学系のノーベル賞と縁がないのか、と嘆いているらしい。国力とノーベル賞が相関すると思っているのだろう。サムスンやヒュンダイがこれだけ世界に冠たる会社になったのは、韓国が近道を通って経済発展をしたのだという、本質的なところがわかっていないのだ。家電やICや自動車というのは、巨大資本を投下して巨大化することで高い価格競争力を持つ。基幹技術は育てるのに長い蓄積が必要で、時間がかかる。それなら技術を買えばいいのだ。人を、システムを買ってしまえば遅れは一気に取り戻せる。
その巨大資本を投下することができたのは、韓国は日本のような財閥解体を経験していないので、財閥が存在していたからである。財閥のトップは、日本のような雇われ社長ではないから決断も早いし、鶴の一声で一気に設備投資を行うことができた。その違いが大量生産品での価格競争力となり、日本を一気に凌駕した理由でもある。
そういう技術力なのであるから、基礎研究は自力ではなく他国のものを導入してきた。そんな国にノーベル賞に値する科学者が育っているならその方が奇跡だ。だから中国のように、韓国の上をいく巨大資本で競争されれば必然的に韓国は優位性を失い、その席を譲らざるを得なくなる。折しも財閥は創業者を継いだ二代目から、さらに三代目へと代替わりしつつある。「売り家と唐様で書く三代目」という川柳にあるように、ナッツ姫のような三代目の時代になって、衰退が始まっている。ノーベル賞はますます遠いだろう。
その日本も韓国や中国に負けじと価格競争をして、基幹技術育成はコストだと勘違いした経営者ばかりになって、過去の研究者に続く気鋭の技術者が育っていないともいう。たまに優秀なものがいても、海外へ行ってしまう。日本もノーベル賞から遠のくだろう。
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こんにちは
そう言えば韓国人女性作家の韓江という人がノーベル文学賞を得ましたね。元々韓国は結構文芸が盛んな国ですから、私個人としてはいつか誰かがもらうだろうと思っていました。
実を言えば彼女の本は何冊か読んでいるのですが、まあ面白いかな?と言うレベルでした。特に今回受賞の対象になったと言う小説は光州事件(韓国近現代の黒歴史ですね)のことを扱っていて、読んだことがなかったので早速韓国の本屋に注文しました。
あと音沙汰なしの日本人のノーベル賞受賞ですが、最近では日本の大学ではなく、外国の大学で研究していた人がもらう傾向でしたから、今のままの日本の教育体制(要するに人を育てるのではなく人の個性を潰して企業に都合のいい奴隷を製造するようなものです)と背後にある社会体制では恐らく今後はもらえる人は出ないでしょう。
そのうちノーベル賞が日本のマスゴミに扱われることもなくなっていくと思います。では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2024年10月11日 (金) 15時35分
shinzei様
私はまったく知らない作家ですが、韓国のためにも祝福したいと思います。
文学賞は財閥とは関係ないですね。
書いたことと矛盾はしないと思うのでほっとしています。
おっしゃるように日本はこれからノーベル賞とは縁が遠くなりそうです。
投稿: OKCHAN | 2024年10月11日 (金) 16時06分