『中国任侠伝』
陳舜臣(1924-2015)の本を少しずつ読み進めているが、小説、随筆、歴史の本(『中国の歴史』全七巻、『中国の歴史 近・現代篇』全四巻)などを合わせると軽く五十冊を超える蔵書があり、まず文庫本を読んで、文庫本で再々読の可能性がないものは処分することにしている。
この半月で六冊ほど読了し、この『中国任侠伝』(文春文庫)もその一冊だ。『史記』の中の、『列伝』から選んだ人物を、彼の想像力を加えて膨らませた短編集で、続編(『続・中国任侠伝)』もある。いまは小説が昔ほど楽しめない状態で、この本も他の随筆集ほど感銘を受けなかった。とはいえそもそも嫌いではない世界が描かれているので、気がついたら読了していた。荊軻、孟嘗君、信陵君、平原君とその食客たち、季布、郭解、趙群、朱家、田仲などが、その時代の歴史とともに描かれていくのだが、歴史が新しくなるほど人物が小者になっていく。それは世の中がだんだん窮屈になり、人間が大きく飛躍することがむずかしくなっていったことの表れなのだろう。そういうものなのかも知れない。
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