『ウエスタン』
『ウエスタン』はセルジオ・レオーネ監督の1968年のマカロニ・ウエスタン映画。従来のマカロニ・ウエスタン映画とは一線を画する本格的な西部劇になっていて、しかもヘンリー・フォンダが血も涙もない悪役に徹しきって演じていることで、見応えのある映画になっている。その悪役を執拗に追い詰めていく、ハーモニカと呼ばれる無口な男をチャールズ・ブロンソンが演じていて、しかも共演者にはクラウディア・カルディナーレを配するという豪華な配役である。
ある男と結婚を約束し、ニューオーリンズから列車でやってきた女(クラウディア・カルディナーレ)は駅に降り立って途方に暮れる。来るはずの迎えがいないのである。馬車を頼んでその男の農場にやってきた女はそこで人々が喪服で集まっているのを見る。男とその子供たち三人は皆殺しに遭っていたのだ。当時の西部は男の世界で、女は男に従属するもの、とおもわれている時代に、その悲劇にもめげずに、毅然として生きる女の姿が素晴らしい。
その犯人と疑われたギャングたちの頭目(ジェイソン・ロバーツ)、しかし彼は自分の仕業ではないと主張する。ハーモニカ(チャールズ・ブロンソン)、ギャングの頭目、そしておりしも鉄道延伸を進めていた鉄道会社と、そこに用心棒として好き勝手に働く荒くれ男ども(首領がヘンリー・フォンダ)が三つ巴になって抗争を繰り広げることになる。
最後にハーモニカの抱える因縁が明らかにされ、決闘のシーンへと続く。出来の良い西部劇は感動的に面白い。いわばアメリカの時代劇なのだといまごろ気がついた。
たくましい女。クラウディア・カルディナーレではない。
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