フクロウ
フクロウの小物を集めるともなく集めて、いつの間にか数十たまった。旅先などで、持っているものと似ていないものを見つけると買ったりする。集めていることを知っている人からいただくこともある。大きいものや高いものは、ほしいと思うものがあっても買わない。場所塞ぎになるし、収集がエスカレートしてしまうのもなんだかイヤだ。
ここまでは枕で、韓国映画の『梟-フクロウ-』という映画を見た。韓国の映画賞を総なめにしたという、王朝ミステリーである。韓国映画は出来不出来(出来不出来というより私の好みと合うか、まったく合わないか、かもしれない)があるが、この頃はだいたい見当がつくようになって、厳選して見たものはたいてい出来が良い。この映画はその点で、さすがに賞を総なめするに値するものだった。
清朝初期、滅びつつある明朝に忠義立てしたために攻撃を受けて大敗し、明にとって替わった清にとらわれの身となっていた朝鮮の世子(皇太子にあたる)が帰されてくるのだが、例によって宮廷は陰謀の渦である。
そんなころ、盲目の若い鍼医師が、名医とされる宮廷医から抜擢され、宮廷に勤めることになる。その彼が、鋭敏な感覚と優れた頭脳を駆使して知ることになる信じがたいほどの恐るべき陰謀の実態。そしてそれを知ったが故に陥る絶体絶命の事態をどう切り抜けていくか、緊張感が全編に張り詰められた優れた作品となっている。
題名の梟の意味は、生まれつき彼は明るいところでは完全にものが見えないのだが、かすかな灯りのときには、クリアではないながらもものが見えることに由来する。彼はそれを隠しているから、その彼が見たものを見たと主張することができないのである。
史実(『仁祖実録』)にある世子の怪死(感染症と記録された)をもとに出来の良いミステリー仕立てにした上、信じられないような犯人が設定されている。詳しく知っているわけではないが、朝鮮というのはこういう話が多いような気がする。私が見た、宮廷が舞台の時代劇ドラマはたいていそんな話だらけだった。
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