おもしろくない
随筆、エッセイの類いが好きだ。文豪の随筆選などは、文庫で出ているものをかなり揃えている。文豪ばかりでなく、いろいろな人の随筆集が並んでいて、たいていそんなに長いものはないから、重いものが読みたくないようなときには、適当に引っ張り出して拾い読みしたりする。
古典は苦手だが、説話集や物語集は面白いからときどき読む。随筆集といってもいいと思うが、『徒然草』や『方丈記』も何とか注釈に助けられながら読む。短い文章の中に思いがけない深い意味を感じて、ちょっと判ったような気分になれるのも好い。最近、棚にあるだけでほとんど開いたことのなかった『枕草子』を読みはじめた。ちっともおもしろくない。多くの人が良いというのだから、それを感じられないのは私の読解力、連想力がないせいであろう。古典が苦手になったのは、高校時代に学ばされた、この『枕草子』と『源氏物語』のせいだと思う。教師は陶酔するようにその素晴らしさを語ったが、私には良さがまったく判らなかった。この歳になって、もしかしたら判るかと思ったが、やはり私とは相性が悪いようだ。
かな文字文学というのが、私と相性が悪いようだ。つまり、平安時代に書かれた女性の書いたものは私の手に負えないようだ。もしやと思ってはいたが、私はやはり女心の判らぬ男らしい。当時は物語のような下世話と思われたものは別にして、男は、文章を漢文で書いた。そのリズムがしっくりするようだ。わかりにくくても漢字で意味がとれるということなのだろう。
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