『中国歴史の旅』
陳舜臣の『中国歴史の旅』上・下巻を久しぶりに読み直した。彼が中国の各地を旅したところを、その地の歴史、その遺址、遺跡などを紹介したもので、これを読んで中国への憧れを強く抱いたことを思い出した。
思えば中国へはずいぶん何度も訪ねたものだ。そのきっかけの一つがこの本だと言えなくもない。とくに、西安、そしてシルクロードへの憧れは強かった。だからリタイアしたら敦煌の先へ長期で旅しようと思っていたのに、敦煌止まりで終わったことが残念である。計画では敦煌からトルファンの先までの、往復で一ヶ月という中国の旅行会社のバス旅行にエントリーするつもりであった。しかし、家庭の事情(いま長期入院している妻のこと)で長期の旅は不可能になった。いまはウイグル自治区に行くことがそもそもかなわない。
上海を拠点に杭州や江南地区をずいぶん何度も歩き回った。西安にも何度も行った。今も脳裏に鮮やかにあちこちの光景がよみがえる。この『中国歴史の旅』には、雲南の旅がない。この本を書いた時点では、まだ陳舜臣は雲南に行っていないのだろう。私は得意先の中国好きの社長に強く勧められて雲南に行き、たいへん感銘した。そのあともう一度行っている。都市部ではない田舎には、私の幼少期の日本が思い出される風景があって、それが何より記憶に残った。あの高倉健主演、チャン・イーモウ監督の『単騎千里を走る』の描く世界そのものである。実際に撮影に使われた場所の何カ所か訪ねたが、そのままであった。
今の中国の実情から、そして自らの体力も考えると、もう中国へ新たに旅する気にはならないが、この『中国歴史の旅』を読み直して、自分が旅した中国のことを思った。もう行けないと思うからますます憧れが強くなった。
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