今年は金だというが
今年を漢字一文字で表すと「金」なのだという。毎年恒例のこの行事を主催する団体は、漢字を商売にしていて、漢字を愛するというより漢字を金にしているわけで、この選定はいかにもという気がする。毎年そうしたらどうか。金メダルラッシュだった、などと選定理由を述べているが、いかにもとってつけたように聞こえる。こちらに漢字についてのこだわりがあって、この団体に対してちょっと偏見が強いか。
私が今年を漢字一文字で表すなら「憂」というところか。世界は未だにどこかで戦火が絶えないが、それでもこの十年前、二十年前はここまでひどくなかった気がする。はるかに遠くだった戦火が次第に迫っているような不安を感じさせるようになってきている。先進国、つまり豊かな国は、個人がますます至上のものとなり、結果的にバラバラの個となっていき、多様化という美名のもとに、他者に対しての配慮、思いやりを見失っている。自分の身の回りしか見えなくなり、視野狭窄を起こし、社会的意識を喪失しつつある。常に自分が至上で正しい。それなら他者とは相容れず、分断が進むのはあたりまえだ。
途上国や貧困国の政情はますます混乱の度を増し、自分が生き延びるために他を慮る余裕がない。それならこれもバラバラということである。バラバラでは共同社会は成立しにくい。
違いを言い立てることが正義であるのなら、互いのコミュニケーションはますます成立しにくくなるばかりだ。もっといい加減で善いではないかと、いい加減な私は思うが、わずかな瑕瑾を捉えて罵倒し合う風潮は、SNSという武器が普及したことでますますエスカレートしている。人を持ち上げながらリスペクトがないから、手の平も簡単に返る。
今年は「憂」であり、来年の世界は「憂」ではすまされない、もっと深刻な事態に悪化するのではないかという懸念を含めて、「憂」である。
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こんにちは
来年のことを考えれば、笑い出す鬼を殴り倒したくなるほど憂鬱になります。
恐らく世界はこれまでにない混乱の時代を迎えるでしょう。これは真面目な専門誌からオカルト雑誌まで共通しています。
まあ、そこで足を竦ませるのではなく、それを却ってチャンとして打って出るような勇気を持たなくてはならないのでしょうが・・・。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2024年12月14日 (土) 14時39分
shinzei様
どう見ても、世界は良からぬ方へ動いているように見えてしまいます。
そしてそれを正しい方向へ戻すのはもう無理なような、悲観的な気持ちになっています。
どうしてそうなったのか、自分なりの考えはありますが、それが正解でもまちがいでもこの世の動きには関係ありません。
打って出る人がいたとしても、しかるべき方向へ舵を取る人なのか、あまり期待できない気がしています。
どうしようもない状態になって初めて方向修正ができるのであって、それまでしばらく善いことがないのではないでしょうか。
投稿: OKCHAN | 2024年12月14日 (土) 14時47分