米沢の雪
大学二年生から四年生の三年間を米沢で過ごした。雪の多いところだった。昨日や今朝の米沢の降雪の景色をテレビで見て、当時のことを思い出した。大学受験も米沢だった。当時山形大学は二期校なので受験日は三月の後半で、私の地元の千葉ではもう春になっていたけれど、米沢の宿に着いたら雪景色だった。そして夜からまた雪が降り始め、もともとの雪に、その晩だけでさらに30センチ以上積もった。宿が大学まで歩いて行けるほど近かったからよかったけれど、車や列車の人は遅れてたいへんだったと聞いた。見たこともない大雪だった。
実際に米沢で生活したときには、冬はそういう中で暮らした。寮生活をしていたが、その寮が郊外にあり、大学のキャンパスには近いが街中からは遠くて、さらに雪が多かった記憶がある。米沢は盆地で、すり鉢の底にある。壁のような斜平山(なでらやま)から雪が吹き下ろし、雪が上から降るというより下から吹き上げる。一年間だけ暮らした山形は、雪が降るときは風が止まり静かに降る。米沢は雪が降るときは風が吹く。寮から冬だと歩いて30分以上かかる街中に、吹雪に背中を押されて飲みに行き、帰りは山から吹き下ろす吹雪に向かって帰る。大酒を飲んでも寮に着くと醒めていたりする。コートのポケットには雪が勝手に積もる。風で吹き込むのだ。
雪はいつでも一メートル以上道路脇に積まれていた。寮に雪下ろしのアルバイトの募集があったりする。何度か応募したが、一度高い建物の屋根で怖い思いをしてから、いくら時間給が高くても雪下ろしのバイトはやめた。山岳部の連中は嬉々として学校の体育館などの屋根に登っていたようだ。
卒業してからも、何度か冬の米沢に行った。だんだん雪の量が少なくなっているなあ、というのが実感だった。今回の雪でも、むかしなら話題になるほどの量でもないように見えた。もちろん、本格的に積もるのはこれからだろうけれど。
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