お茶と漬物
昔、もう五十年以上前のことだが、新人時代に地方の繊維関係の工場や地元の代理店を担当していた。繊維製品を作り上げるにはいろいろな工程があり、私の就職した会社の一部門では、その工程で必要な資材を生産販売していて、その営業で廻っていたのだ。その繊維生産の工程は長い歴史の中で分業化されていて、産地と言われる地区が全国にあり、全体で有機的に生産が行われていた。
小さな工場や代理店は家族的で、担当者や経営者などが手が空くまで待たされることがしばしばあり、その間事務所や場合によって社長の家の座敷で待つ。その時にお茶を出され、たいてい茶菓子ではなくて漬物が供される。お茶も漬物もとても美味しい。そこで茶飲み話でいろいろささやかな情報を聞いた。私はもともと漬物がそれほど好きではなかったけれど、次第に美味しいと思うようになった。
そういう産地も過当競争の時代になり、さらに海外との競争の中で次々に縮小し、壊滅していった。そういうものを見続けた。
いまお茶を淹れて、自分で漬けた白菜の漬け物などを箸で摘まみながら、その時代を思い出したりしている。懐かしいというのとは少し違う気持ちである。今回の白菜は少し漬かりが浅いようだ。気温が低いからだろうか。塩をきかせすぎたのかも知れない。
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