天才がとことん頭を絞り抜いても
NHKに『笑わない数学』という番組があって、昨年末に第二シーズンをまとめて放送してくれていた。それを録画しておいたので、一部を息子と見た。そして残りを箱根駅伝のあとに見た。数学の天才が何世紀にもわたって考え抜いた難問を教えてくれる。正月の酒でふやけた脳みそには多少の薬になる。もちろんほんとうには理解できないけれど、なぜ命を削るようにして、ときには精神の平衡を失うほどの思いをしてその難問を考え抜いたのか、その意味がおぼろげにわかる番組になっている。
人類にはまだまだわからないことがあって、何かがわかればさらに新たな難問がそこにあって、じつはわかっていないことの方がはるかに多いのだ、ということを教えてくれる。問題を理解する能力はなくても、自分が知らないことが世界には山のようにあるのだということを教えてくれて、知らないことがあるということに、ささやかな興奮と、不思議なことに喜びすら感じたりする。
知の巨人といわれる人のことばに、いままで知らなかった視点からの世界を垣間見せてもらう番組も有難いし、おもしろい。ただ、最近は「知の巨人」というレッテルが安っぽくなって、ただの知ったかぶりもそう呼ばれたりするから気をつけないといけない。
暮れから正月は、テレビを見ても、ただ集団でけたたましくでわめき笑う番組だらけでうんざりするが、そういうときほど少し頭を使うとほっとする。
そういえば、この休み中に息子と映画『デューン 砂漠の惑星』の第一部と第二部を見た。私は第一部は見たことがあるが、世界観がわかりにくいこの作品は、続けてみた方が良い。たぶん第三部もつくられると思うが、その時にはまた第一部、第二部、第三部と続けてみるつもりである。息子とこの映画の素晴らしさを楽しみ、傑作であることをあらためて実感した。若いときに原作を読んでいるが、重苦しいばかりでイメージ化がしにくい印象だった。映像化不可能というこの作品をよくここまでの映画にしたものだ。
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こんばんは
数学者という人たちは”ぶっ飛んだ”人が多いですね。
日本を代表する数学者で、すさまじい数学上の発見をしながらも年齢制限に引っかかってフィールズ賞をもらえなかった(文化勲章はもらいましたが)岡潔もそんな人だったようで、色々逸話を残しておられています。
私みたいな愚物には到底及びもつかない世界ですが、まあ外から眺める程度くらいは出来そうですので彼の伝記などを読んだり、動画を見たりしています。
しかし・・・、この人と小林秀雄との対談『人間の建設』を読みましたが、彼のどこがぶっ飛んでいるのか?と思うほど”まともな”ことを述べておられました。
では、
shinzei拝
投稿: shinzei | 2025年1月 2日 (木) 16時58分
shinzei様
全部まるごと”ぶっ飛んで”しまったら、あちらの人ですからね。
私などが見ることのできない世界を見ることのできる人は、あちらからこの世界を見ることもできるので、思索も深まるのではないでしょうか。
宇宙から地球を見ることでも、人は大きく変わることがあるようですから。
外国を旅することでも少しは変わることもあります。
投稿: OKCHAN | 2025年1月 3日 (金) 04時50分