『遠すぎた橋』
新しい映画を見るつもりだったのに、古い映画を見てしまった。『遠すぎた橋』は1977年のイギリス・アメリカの戦争映画。名優がたくさん出ている。ロバート・レッドフォード、ジーン・ハックマン、ローレンス・オリヴィエ、エリオット・グールド、マイケル・ケイン、ダーク・ボガート、ショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンスなど、挙げていけばキリがない。
この映画を私は学生時代に見たつもりでいたが、1977年製作ならもう就職していたはずで、記憶違いであった。ロバート・レッドフォードとハーディ・クリューガーだけを鮮明に覚えている。ノルマンジー上陸作戦の成功により、ナチスドイツは劣勢に追い込まれていったが、連合軍側も戦線が伸びすぎて戦争は膠着状態になっていった。それを打開するために、イギリスのモントゴメリー元帥と、アメリカのパットン中将が打開策をそれぞれ提案する。そして採用されたのがモントゴメリーのオランダへの大規模な空挺団による奇襲作戦だった。しかしその作戦を成功させるにはさまざまな問題が予測されていた。もちろんどんな作戦もすべて完璧ということはあり得ず、必ず齟齬は生ずるものだが、上層部はあまりに自分に都合のよい想定をしていた。
空挺部隊が拠点(三つの橋)を確保し、それをめがけて陸上部隊が進軍して敵を追い詰めるというものだったが、問題が次々に起きて陸上部隊は遅々として進むことができず、その遅れが、装備が不十分な空挺部隊を次第に劣勢に追い込み、ついには孤立させてしまうことになる。絶望的な防戦、打開のための方策も戦死者を増すばかりとなる。題名の通り、主力は遠すぎた橋にはついに至らず、作戦は失敗となり、連合軍は大量の死傷者を出して撤退を余儀なくされる。
史実では、解放を喜び連合軍を歓呼の声で迎えたオランダ国民は、連合軍の撤退により、再びドイツ軍によって悲惨な目に遭うことになる。ドイツ敗戦の一年前のことであった。
戦争はもちろん嫌いだが、戦争映画は嫌いではない。ずいぶん見てきた。私のベスト一推しは、何度も書いてきたがユーゴスラビア他の、これも名優がたくさん出ている映画『ネレトバの戦い』という映画で、一度見てから少し置いてもう一度映画館に見に行った。ユーゴスラビアという国はいまはバラバラになって存在しないけれど、この映画とパルチザンを率いたチトー(のちに大統領)という英雄は永遠である。
そういえば、『遠すぎた橋』の後半に、接収された屋敷の、ホルスト夫人役のリヴ・ウルマンに魅せられた。『ネレトバの戦い』ではシルバ・コシナに魅せられた。極限状況下でも毅然としている女性はとてつもなく魅力的に見えてしまうようだ。もともとホルスト夫人役は、この戦場となった主要な橋のあるアーネムという町に住んだことのあるオードリー・ヘプバーンがオファーされたが都合が付かなかった、とこの映画のエピソードの記録にあった。
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