『風が吹くとき』
『風が吹くとき』は、漫画を原作とした1986年のイギリスアニメ映画。定年退職を機に田舎の一軒家に移り住んだ初老の夫婦が、ニュースで戦争が起こりそうなことを知る。核戦争になることを想定して、役所から配布されたパンフレットどおりにそれに備えようとする。大真面目に準備しながらふたりの交わす会話は現実感に乏しい。新聞ではあと二日か三日で戦争に突入するという。
あまり効果的とは思えないながら、ささやかなシェルターらしきものを作り上げた頃、ラジオが突然核ミサイルの飛来を告げる。着弾まで三分だという。慌ててそこにこもるふたり。そして「風が吹いた」。しばらくしてふたりが外を見るとあたりは焼け焦げ、破壊されつくしている。水道から水は出ないし、電気は切れたままである。お茶も飲めないし、洗い物はできない。不自由な日々がつづくが、ふたりはいまに助けが来ると信じていて、交わす言葉も日常を前提にしたものばかりである。
やがて彼らの体調に異変が生じ始める。放射能による障害が起きているのだが、そんなことはふたりには理解できないから、なにか別の理由ではないかと考える。
そして・・・。
キノコ雲も、爆弾による直接の人の死も一切描かれない。ただがれきの中で日常の回復を信じて淡々と会話を交わす夫婦が描かれるだけである。
こういう映画をどう受け止めるのか。映画がもっとも伝えたい人には決して伝わらないだろうという悲観的なことだけを確信する。
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