読書備忘録
読もうと思って積んである本の山が、「読め!読め!」と私の耳に語りかけてくる。読もうと思いながら、どれから読んでいいかわからなくなって混乱する。強迫観念のようなものに振り回されている。ちょっと危ない。心を静めて、今日はこれだけ読もうと思う本を択びだして読み始める。これはこの二三日の読書備忘録である。
森鷗外の小説だけを縮刷した『ザ・鷗外』という一巻本を若いときに購入した。長編中編短編合わせて約八十編が収められているが、字が小さいから読みにくいし疲れる。できればちくま文庫版の全集が欲しいところだが、アマゾンで見るととんでもない値段が付いている。一度古本屋を探してみるつもりだが、いまは間に合わないから、その本で鷗外を読む。
『高瀬舟』を読んで、つい、以前読んだ『阿部一族』と『護持院原の敵討』をまた読んでしまう。山崎正和が『鷗外 闘う家長』で、これらの悲劇が西洋の悲劇とはまったく異なる悲劇であると述べている意味が少しわかる気がした。たしかに運命へのあらがい方が違う。その『鷗外 闘う家長』の第二章をようやく読み終えた。第三章を読み切ればこの本を読み終える。しかし引用された鷗外の小説がたくさんあるので、それをひとつずつ片付けているので、たぶん鷗外の小説の半分くらいは読まないといけない。長編の『渋江抽斎』などは一度読みかけて半分も読み切れずに挫折しているので、そういう長いものはパスして、またの機会に読むことにする。
永井荷風の『あめりか物語』を読み始めた。短編が二十編ほどで構成された三百ページあまりの初期の長編小説で、長いので敬遠していたが、読み出したらそこそこ読める。まだ数編読んだだけだが、これは最後まで読めそうだ。荷風は岩波版の全集を揃えているので、できれば以前読んだものも含めてできるだけたくさん読み直すつもりだ。
読むのに疲れたら、團伊玖磨の『パイプのけむり』のシリーズを口直しに読む。一冊に四十編ほどが収められていて、いまはだいたい三編か四編ずつ読んでいる。もう十冊以上読み終えているが、それでもあと四五冊残っているのを読み終えるのは夏過ぎになるだろう。他に民俗学の宮本常一や赤坂憲雄の読みかけの本も読みたいが、手が回らない。
読み疲れて頭がクラクラしている。
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